伯林聖杯戦記0話~0.5話sideSkorzeny
2020/09/04 (金) 19:13:45
シンドーから発せられた聖杯戦争という言葉にスコルツェニーの眉がピクリと僅かに動く。
「……っ、はははっ!聖杯戦争?なんだそりゃ、ヒトラーやヒムラーの妄言を信じてるのか?ラストバタリオンとか?」
一呼吸置いた後笑い飛ばした。
「声が震えているぞ、オットー・スコルツェニー」
第三の男の声に思わずスコルツェニーが椅子から飛び退き、身構える
男はスーツを着込んだ白髪の老人だった。
男からは一切、気配がしなかった。いや、気配を感じることが出来なかった。
「てめぇ、魔術師だな」
「いや、三人とも魔術師だ。名乗り忘れたなカール・グスタフ・ユング、心理学者と言うことになっている」
スコルツェニーの警戒を露とした声を気にすることなくユングはパイプを取り出し口にくわえる。
その眼鏡の奥には魔術師独特の強い意思があった。
「……そういう事かよ、俺は話すことはねぇ」
椅子に座り直すスコルツェニー。
「無理に話す必要はない」
スコルツェニーの顔の前に手を翳すユング。
すると、スコルツェニーの意識が段々と遠退いて行く。
「くそ、魔術かよ……」
「これでも大分穏健な手を使っているのだがね。 私もベルリンで行われた儀式には興味がある、話して貰おうかオットー・スコルツェニー」
ユングの言葉を聞きながら、スコルツェニーの意識は一年前に引き戻されていった。
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