アルス/XXXI :告白
2020/07/31 (金) 00:50:34
一歩踏み出す、彼女のすぐ近くまで。
手を前に出せば、彼女に届く。
そして―――彼女の手を取って、強く握りしめた。
「えっ―――?」
「……パーシヴァル!余は――――――」
「――――――僕は!あなたの事が好きです!!」
ただ、力の限りはっきりと叫ぶ。その瞬間、頭が真っ白に弾けた―――お互いに。
王と騎士ではない。マスターとサーヴァントでも、家族のような関係でもない。
これまでの十数年にあった2人の関係性、その全てを放り投げて。1人の少年が、1人の女性に想いを告げた。
「―――え、だって。そんな……え?」
「一体、そんなの。いつから―――」
「………覚えてない。パーシヴァルと過ごして、しばらくしてから」
「パーシヴァルのことで頭がいっぱいになったり、胸がギュってなったり、熱くなったり……」
「それって……好きだってことだと、思うんだ。だから、それを伝えたくて……最初からそのために、あなたをここに連れてきたんだ」
「だけど、苦しくて。うまく言えなくて……」
普段の尊大であろうとする言葉遣いは既に無い。
年相応の言葉を辿々しく繋げながら、アルスが懸命に自身の意思を吐き出し続ける。
口にすればなんと陳腐な言葉だろうが、止めることはない。こんな子供じみた恋心が、自身にとっての真実なのだから。
「……パーシヴァル」
「答えてほしいんだ。パーシヴァルは、僕のことを、どう思ってるのか」
きっと、受け入れられたとしても、否定されたとしても、元の関係に戻ることは叶わないだろう。
それでも、怯えて終わりたくない。これで何もかも終わってしまったとしても、全部を受け入れる。
だから、どうか、この気持ちを受け取って。
「―――――――――」
通報 ...