アルス/XXXI :告白
2020/07/31 (金) 00:49:45
「それで……だ、本題なのだが……」
今夜の彼は、どこかしら歯切れが悪い。日頃凛々しく振る舞う姿とは対照的なほどに。
その理由を見出せず、パーシヴァルが再び首を傾げた。
「……戦いの中では、何度も危機に陥った。余も、そしてそなたも―――いつ喪われたとておかしくは無かっただろう」
「余はそなたを―――失いたくなどはない。そればかりを余は恐れてきたのだ」
「アルスくん……心配してくれていたんですね。えへへ、申し訳ないとは思っていますが、少し照れ臭いような……」
パーシヴァルが朗らかに微笑む。いつものように。
違う。
「だから……これからも無理はせぬように。そなたは、その。余の大事な―――騎士であるが故……」
「……勿論です!私はあなたのサーヴァント。いつまでもアルスくんと共にありますよ!」
パーシヴァルが胸を張って応える。いつものように。
違う、本当に伝えたいのは、もっと―――
少しずつ近づけてきた脚が止まる。言葉を重ねるごとに言い淀み、淀むほどに遠く離れていく。
それも本心だ。彼は確かにパーシヴァルの身を案じていた、確かに共にあって欲しいと願った。
しかし、全てを伝え切る事ができない。小さな体に重圧がのしかかり、脚は重く、言葉は圧し潰される。
だけど。
だけど、惑うな。
逃げるな。
言わなければ。
繋いだ運命に問うのだ。ここで伝えなければ―――きっと、何も変わらない。
「―――待って、パーシヴァル!!」
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