ドラキュリア西海岸にて
2020/05/15 (金) 00:32:48
サーヴァントは眠らないし夢を見ない、その筈だ
なのに最近の「私」は良く夢を見る
一つ目は孤島の牢獄に捕らわれた人々が良く分からない呪文を唱える世界の夢
その世界に自由はなく、海は人の物ではない
二つ目は鋼鉄の世界で鋼同士がぶつかり合う夢
その世界に人はいない、空は鉄で覆われている
どちらも録なものではない
────────もし、私もそちらに生まれていれば……■■であれば、この空と海を愛する事が出来たのかしら
ふと頭にリフレインしたのは自分と同じ声をしたモノの最期の言葉
『私』なら兎も角「私」は空と海を愛してはいない、だからその答えは分からない
だが、少なくとも"この国"は「私」が守らねばならない物だ。例え「私」一人になったとしても。
「ゴースト!いるかゴースト! また奴等だ! 連中、頭のコロンブスを仕留められてから海軍にもいられず海賊になったらしい!」
耳をつんざくような叫びが通信機から漏れる
怒鳴らないでも聞こえている、一言返すと身を起こす
「聞こえているなら急いでくれ!商船が狙われてる、全くあの吸血鬼ども!吸血鬼なら吸血鬼らしく昼間は屋敷に籠ってやがれ!」
愚痴めいた叫びを聞き流しながら壁に掛かっていたコートを羽織り窓から飛び出す。
このクソッタレな世界で「私」は駆け回る、『私』と「私」がかつてそう呼ばれたように、灰色の幽霊のように
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