剣道少女と海遊館(おまけ)
2022/05/30 (月) 22:43:41
「ところで……このジンベエザメちゃん、名前は何ていうんですか?」
二人でそれぞれ抱えている大きなジンベエザメのぬいぐるみ。
つがいである二匹、愛くるしい瞳のこの子はなんという名前なのだろう。
「名前ですか?……考えてませんでした。付けてあげたほうがいいんでしょうか?」
「えっ。えっと、その方が親しみが湧くというか呼びやすいというか……」
ぬいぐるみって、買った時に名前をつけてあげるものだと思ってた。
思いがけない返答に少し戸惑いながら言葉を返す。だって身近に触れ合うものだし、名前がないと呼んであげられないし。
もしかしてあんまり一般的じゃないのかな。急に込み上げてきた恥ずかしさを隠すように、抱えていたぬいぐるみを強く抱きしめる。
「なるほど、では……教会に着くまでの間に考えておきましょうか」
……クエロさんのネーミングセンス、凄く気になる。
ともあれ名前をつけて貰えるのは良かったねえ。心なしか嬉しそうな表情のジンベエザメを軽く撫でる。
私も何かお土産を買えばよかったかな……いや、帰る時に手荷物が増えてしまうとちょっと大変か。
とりあえず今は海遊館の余韻に浸りながら、ジンベエザメのやわらかさを堪能するとしよう。
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