kagemiya@なりきり

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剣道少女の朝ごはん 1/2 2022/05/06 (金) 09:13:09

8時過ぎ。慎ましやかな雰囲気の食堂で、私とシスターさんは少し遅めの朝食を取っていた。
食卓に並ぶ料理は、洋風なテーブル・食器にそぐわぬ和風料理。ご飯に味噌汁、焼き魚、卵焼き。
シスターさんは外国人であるようだが、まさか「日本の家庭料理」も作ることが出来るとは。
味も上々。味付けに若干の洋風さが感じられるが、美味しい。もしかしたらママよりも上手かもしれない。

そんな時、ふと向かい側のシスターさんに目を移すと、彼女の前にはまた別の料理が並んでいた。
比較的大きめの皿に盛られたその料理は……とろみのついた、麻婆豆腐……?
外見こそ麻婆豆腐に似ているが、赤い。あまりにも赤い。少なくとも、私の知る麻婆豆腐はあんな鮮烈な赤色ではない。

「それ……何の料理ですか?」

恐る恐る口に出す。
私の問いかけを聞いてシスターさんは、その麻婆豆腐と思しきものを飲み込んで

「麻婆豆腐です」

麻婆豆腐だった。
続けて、香辛料……主に唐辛子や花椒をふんだんに含んだ激辛麻婆であると告げる。
激辛というなら納得の色合いだ。純白の豆腐すらも赤に侵す色にも納得がいく。
私自身、激辛料理は嫌いではない。インスタント麺やお店で「激辛」を見かけると、ついつい食指が動いてしまう。
以前食べた超激辛なカップ焼きそばは悶え苦しむほどの辛さだったが……それも今では恋しく思える程度に激辛に慣れている。
……こうして思い返してみると、私は割りと激辛好きなのかもしれない。

そんな事を思い返しつつじっと麻婆豆腐を眺めていると、シスターさんは穏やかな笑顔を見せて問う。

「少し食べてみますか?私用の味付けなので、結構辛いかも知れませんけど」

「いいんですか!?……ふふ、私も激辛が好きなんです。心配ご無用ですよ」

シスターさんから頂いた麻婆豆腐が目の前に置かれる。
先程までは一般的な日常の食卓だったはずなのに、突如として侵略者が現れたかのようだ。
立ち込める煙すらも辛い。しかしこのくらいならば慣れている……挨拶の後、いざ実食──────

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