天魔聖杯戦争 弓主従 日常の一幕
2022/01/27 (木) 14:33:39
むにぃ。
背後から伸びた褐色の指が、俺の頬を痛くない程度に摘まんだ。
「……にゃにをしゅりゅんだ、あーひゃー」
「いやなに、マスターが辛気臭い顔をしていたからね?」
下手人を問い詰めようと振り向いた先には、艶やかな褐色肌の少女───アーチャーがにんまりとした笑みを浮かべていた。
「……」
「ああもう、わかった、わかったってば」
無言で抗議の視線を投げかけ続ければ、彼女は堪忍した様子で浮くのをやめ、先程までの喜色の表情から一転して凛とした顔つきで俺を見つめてきた。
「ボクはね、心配してるんだよ。人の幸福のために頑張るのは善いことだ。でも君のそれは度が行き過ぎてる。インドラに身を捧げた兎のように、自分を使い潰してまでも他人に尽くそうと言わんばかりの勢いだ」
「そんなことは、」
「あるよ。かの時代で最も……いや、二番目に人を見る目に長けたボクが言うんだから間違いない」
ずいっと顔を近づけて俺の瞳を覗き込む彼女。
それに対し、今の俺は何も言い返せず、ちょっとした気恥ずかしさから目を逸らすことしかできなかった。
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シュナ子的に一番人を見る目に長けていたのはドローナ