泥新宿×綺羅星 少女と偽る者
2021/10/24 (日) 21:33:53
カチリ、カチリ、と時計の針が動く音がする。
一定のリズムを刻む機械音は眠りを誘う。
今が夢か、現実か区別がつかない、わたしは今どこにいるの?
やがてピタッとリズムが止まった。
「あれ……? 刹那さん? ピオジアちゃん、エステルちゃん、おーがすたちゃん!」
気が付いた時、くには町中にいた。
一緒にお出掛けした筈の綺羅星の園での友達はどこにもいない。
そもそもくにはスウェーデンにある綺羅星の園からイタリアへ列車に乗り出掛けた筈だ。
客席に座り、そこで話していたところを眠気に襲われ、見知らぬ土地に立っていた。
見知らぬ?いや、この風景には見覚えがある、くにの故郷日本秋葉原だ。
「なんで、ここに……」
理解が出来ない。
もしかしたら、綺羅星の園でのことは夢だったのだろうか?
違う、夢である筈がない。
ユィお姉様との出会いが夢だなんて…そんなのは嘘だ!
「お嬢ちゃん、随分綺麗な格好してるなぁ? どこから来たんだ?」
くにが悩んでいると、黒いスーツを纏った男が口元に笑みを浮かべながら近づいてきた。
口調こそ親切で穏和だが、サングラスをかけていても目にある下劣さが隠せてはいない。
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