kagemiya@なりきり

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泥新宿×綺羅星 竜と羊の再会2 2021/10/24 (日) 21:31:19

「竜狩りさん…戻ってきません…」
新宿御苑内の竜狩りが拠点としている元管理事務所の中でペトラはソファーへと腰掛けぼーっとしていた。
別に苦痛ではないが、手持ち無沙汰だ。
なにもしない時間と言うのはその分余計な事を考えてしまう。
私は綺羅星の園へ帰れるのだろうか…塾長がいなければ私の呪いは悪化してしまうのではないだろうか、そうしたら私は……。
ダメです。ルーラーさんも言っていました。呪いに掛かっても神を信じ、自身を保とうとする自制心こそが大事なのだと。
神を信じるのは塾長に起こられそうだけれど。
『まさかぺトラ御姉様もこちらにきていたなんて!』
その時、外から聞き覚えのある声が聞こえた。
「あ……スヴェトラーナ!」
綺羅星の園の後輩、自分の世話を焼いてくれる愛しい後輩。
ここへ飛ばされたのが自分だけでなかったのだと勇気と希望が沸いてくる。

『……預かっている。 竜ではないから……』
「竜でしたら…殺して…!?私も殺すつもりですの!?』
『竜だから…なんでも殺す』
竜狩りとスヴェトラーナの話声が聞こえる。
その内容はナイーブになっていたペトラにとってはとても物騒に取れる内容だった。
心が掻き乱される。だが、竜狩りさんはそんな事はしない筈だ。
竜であれば誰彼変わらず襲う。ルーラーさんがそんな人に私の保護を頼むとは……
『きゃーっ!ころされるー!』
スヴェトラーナの悲鳴。
瞬間、ペトラの何かが切れた。

「ペトラさん、君の友人を連れて……がっ!」
竜狩りはなんの気なしに扉を開ける。
瞬間、身構えていたペトラの全身全霊の体当たりが竜狩りを襲った。
一見華奢な体つきから想像も出来ない驚異的な運動能力とサーヴァントのスキルで言えばDランク相当の「天性の肉体」から放たれた全身全霊の体当たりは完全に油断しきっていた竜狩りを数メートル程吹き飛ばし、事務所近くにある樹木へと衝突。
その衝撃で樹木に留まり寝ていたカラス達は一斉に飛び立ち、事務所近くでワイバーンの肉を味わっていた泥新宿の黒犬はめんどくさそうに気絶した竜狩りを一瞥するとやれやれ…とでも言わんばかりにワイバーンの肉を咥えどこかへと去っていった。
ペトラは間髪いれず気絶した竜狩りに馬乗りになり、その首に手を掛ける。
「スヴェトラーナさん! 早く、早く逃げて!」
「え…? え!?」
子を守る獣がごときペトラの豹変にスヴェトラーナは全く理解が追い付かず竜狩りとペトラを交互に見て困惑するばかりだ。
「………………はい、そこまでよ」
ペトラが竜狩りの首を絞めようと力を込めた時だった。
ペトラの右手首を竜狩りの手が掴んだ。
「まずは落ち着きなさい。 貴女、何か勘違いしてるわ。“竜狩り”にも、“私”にも貴女達を傷付ける意図はないから」
諭すような優しい声。
竜狩りの険のある声と同じ筈なのに幾分か柔らかく感じられた。
「痛たた……中々やるわね、貴女。まぁ話は大体聞いてたわ」
「ご、ごめんなさい……自分、自分とんでもない勘違いを……」
竜狩りの首から手を離し立ち上がると、自分の行いにたじろぐように数歩後ろへと下がりその場に座り込む。
「ペトラお姉さま、大丈夫ですわ。竜狩りさんも無事なようですわ」
泣きそうになるペトラに駆け寄ったスヴェトラーナはペトラを抱き締めてその頭を優しく撫でる。
「まぁ、“私”は“竜狩り”じゃないけど、あいつも気にしないでしょ」
竜狩りの深紅の髪がけさきから蒼く変わっていく。
「貴女、竜狩りさんじゃありませんの?」
「竜狩りは私だけど、私は竜狩りじゃないって言うか……まぁ細かい話は良いじゃない」
スヴェトラーナの疑問をはぐらかし、うんうん、とか勝手に納得して竜狩り?は立ち上がった。
「それより、困ってるんですって?お姉さんに詳しく話してみなさいよ」
「あの……貴女は一体……?」
「そうね、私はハバキリ。これでも守護者とか抑止力の代行者やってるし、時空と場所を超越して移動出来る宝具持ちとかいるから力になれるかもよ?」

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