泥新宿×綺羅星 竜に纏わるものたち2
2021/10/24 (日) 21:24:43
「……そこまでだっ!」
瞬間、雷光が疾った。
赤い雷光がアヴェンジャー達の周囲を焼く。
「そう言えば、あいつの縄張り近くだったわね」
「ああ、忘れとった。気分悪いわぁ」
「スヴェトラーナさんを任せるならちょうど良いかもね」
「まぁ、不愉快やけど仕方ないなぁ」
赤い雷光を珍しくもなく眺めながら鬼童丸とモードは溜め息を付いた。
赤い何かが上空から降ってくる。
それは人だった、赤い髪、赤いスーツに身を包んだ槍を持った女性。
泥新宿のランサー(2)、御苑のランサー竜狩り。
「アヴェンジャー! 今日、ここで決着をつけるつもりか!」
怒りに肩を震わせ、竜狩りは吠える。
鬼童丸とモード、竜狩りはこれまで幾度も刃を交えた宿敵だ。
「冗談、今日は気分が良いから見逃してあげるわ。そこの子、スヴェトラーナは迷い人らしいからなんとかして上げて」
「その子は竜やけど、手ェ出したらうちらが容赦せぇへんの覚えとき。スヴェトラーナはん、ほな、またな」
殺気だっている竜狩りとは違い、鬼童丸とモードは戦う気はないようだった。
鬼童丸は竜狩りを一睨みする。
二人はスヴェトラーナに手を振るとさっさと竜狩りの前から立ち去った。
「なんなんだ、あいつらは……」
困惑しながら首を傾げる竜狩り。
殺気は何処かへと行ってしまった。
槍を納めるとスヴェトラーナを見る。
「ひっ!スヴェトラーナは竜じゃないですの!ジラントですの!」
竜狩りを見るとその場にへたりこむ。
(ジラントは竜ではないのか…?)
「迷い人ならちょうど良い。君の知り合いかは分からないが、他にも迷い人がいる。付いてきてくれ」
竜狩りはへたり込んだスヴェトラーナに手を差し伸べる。
暫く躊躇していたスヴェトラーナだったが、やがて竜狩りの手を掴み、立ち上がった。
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