2102セイバールート序章「修復と呪い」
2021/09/25 (土) 04:43:13
「再会祝いに、盃でも、贈ろうか? ああ、貴様の、マスターに、不貞がバレるのはマズいかな!ハハハハハッ!」
下卑た笑いを浮かべる黒炎の騎士にトリストラムは眉一つ動かさない。
ただ、一本の矢を持って返答とした。
黒炎の騎士は盾を持ってそれを防ぐ。
「…安い挑発ですね。そんな挑発、言葉遣い…する方の品が知れると言うもの。 どこの馬の骨とも知れぬ三流騎士の言葉など聞く耳はありません」
続いて、一本、二本、三本。言葉を続けながらも矢を放ち続ける。
まるで汚物を見るかのようなトリストラムの目線は黒炎の騎士を矢の如く居抜いた。
「クククク……フハハハッ!!アハハハッ!…ああ、間違い、ない!貴様は、容姿こそ、性別こそ、違えど、間違いなく、あの嘆きの子、円卓第二の騎士と、謳われた、あのトリスタン、だ!」
黒炎の騎士は放たれた矢を今度はランスによって切り払うと狂乱したように笑い、天を仰ぐ。
「その名も、剣も、鎧も捨てた。今の私は狩人トリストラム」
「いいや、捨てきれぬさ。名とは生まれた瞬間に刻まれる祝福であり、呪いだ」
黒炎の騎士は頭部の炎を解除し、その兜を露にした。
これを見れば自分が誰かは分かるだろう?とでも言わんばかりに。
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