kagemiya@なりきり

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2102サイドエピソード「お洒落のアドバイスなら服だけじゃなくて相手も選べ」1 2021/09/25 (土) 04:32:28

「ラモラック、今から来れるか?」
土夏旧市街の路地裏でマレフィキウムは自身のサーヴァントであるラモラックへと召集を掛けていた。
聖杯戦争参加者に支給された携帯電話を土夏の都市伝説であるレッドコートを模した赤いコートのポケットへと仕舞う。
高度に再現された土夏の夏は暑い。
日陰でもコートの中が汗ばみ、蒸発した汗がマレフィキウム…楊小路水貴の華奢な体をじっとりと蒸しあげる。
気のせいか、背中にある令呪の部分が余計に暑く感じるのは不思議だ。
(人の事を待たせやがって…)
マレフィキウムのイラつきが頂点に達し掛けた頃、漸く八つ当たり先は現れた。
「待たせたな、マスター」
「遅ぇ……待てテメェ!いや、なんなのその格好は!?」
何時もの仏頂面と灰色のジャケットを想像していたマレフィキウムは思わず唖然とした。振り上げた拳の行き先すら分からなくなるほどに困惑する
一方ラモラックはマレフィキウムの反応に首を傾げた。
ラモラックは何時ものジャケットではなく明朝体で大きく魔女愛!と書かれたTシャツを着ていたのだ。
「……街中で、出会った青年に、勧められたのだが」

────────────────────────
数時間前、土夏新市街のとある公園。
「…………」
何時も通りラモラックは公園のベンチに座り鳩に餌をやっていた。
何時も通りと言っても召喚されて数日行っているに過ぎないことだが。
夜になれば悪逆無道を尽くすマスターに支える自分が昼間はこんな事をやってると知れば笑う者もいるだろう。
だが、これは矛盾ではない。とラモラックは思っている。
悪逆の限りを尽くす人間が家に帰れば優しい父親になる。というのは珍しくはないだろう。
人は誰しも複数の顔を持っている。太陽の騎士と呼ばれたガウェインが父の仇や母親の情夫を複数で暗殺した暗い一面を持っているように。
或いは、それは我がマスターたるマレフィキウムも同じ……下らん、俺はマスターに仕える剣。余計な思考は……

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