相克の相対
2021/05/23 (日) 23:19:44
「最っ……悪……」
毒付くように吐き捨てた。正直、今までにないぐらい私は苛立ってた
意味不明な運任せ野郎と出会っただけでも腹立たしいのに、そいつの攻撃が私を抉ったという事実が耐え難かった
ただの運任せの攻撃で、再生に時間がかかるほど痛めつけられるとは思っていなかった
「まーぁ……それ以上に笑えないのは来客様なんだけどぉー?」
「ヒ、ヒ、ヒ、」
笑い声が響く。今一番聞きたくない笑い声。なんで?何でよりによって貴女なのかしら?
「せーめて、あの弓使いの代行者ならぁ…2つの意味で食欲湧いたんだけどなぁ」
「何だよ。アタシには食欲湧かないってか? 奇遇だね。アタシもテメェの前だと飯食う気しねぇ」
「あーら気が合うわね。私もよ。殺したい相手が目の前にいたら、食事どころじゃないですものねぇ?」
満身創痍な身体に鞭打ち、無理やり立ち上がる。悟られるな。こいつだけには弱みを見せるな
「マ、ここで逢ったのも何かの縁だ。死ぬ覚悟はあるかガキぃ」
「こっちの台詞。肉便器になれ糞ババァ」
好機は一度。吸血できるか、あるいは否か
全霊を振り絞って、私は大嫌いな悪食女と夜に舞った
通報 ...