kagemiya@なりきり

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ダイスSS カゲミヤvsユダvs戦艦ワシントンvs熊女 2020/10/16 (金) 07:37:47

シャドウチェイサーのサーヴァント、カゲミヤ。
彼はとある正義の味方を追いかけるためにサーヴァントになった。はずだった。
今、カゲミヤは、懐かしき町に召喚されていた。
「ここは、冬木…。」
間違いなく彼の記憶通りの場所。しかし、人影は全くなく、空は不気味なほど暗かった。
「こんばんわぁ、あなたも呼ばれたの?私もいつもどおり誰に呼ばれたか忘れてしまったのかと思ったけど。どうも違うみたいなんだ。全く、ほんとに誰のマスターもいないんじゃ私には何もできないよ。」
どこからともかく現れた女。要領の得ないことを話しかけてくる。
「冗談じゃない。僕は、彼のためにしか呼ばれることはないはずだ。」
「本当?なら、その『彼』に何かあったんじゃないの?」
その可能性はあった。だってここは彼と自分がかつて学んだーーーー

「そこのお二人。あなた方が私と対するサーヴァントね。
アンフェアな闘いは好まない。ルールを説明するわ。」
そこに突如現れたのは、軍服を着た女性。
彼女は前置きもなく説明を始める。
「ここにいるのは私たち三騎。それぞれの"大事な人"を象った藁人形が人質に…十字架にかけられている。この町の何処かにね。
最後に大事なお人形が残った人が勝ち。そこでこの空間は終わる。」
「負けると、人形が壊されると、どうなる。」
何故彼女はそんなことを知っているのか、そんなことより、シャドウチェイサーにとっては大事なことがあった。
「"歴史から、存在がなかったことになる。"代わりに生まれるのは別人、違う人。歴史が大きく変わるかもしれない。」
言って、彼女は自分の身体を見つめる、戦艦ワシントン。彼女にとって最も大切な人とは、当然ワシントン大統領その人。
「私は、国のために、世界のために、負けられない。それほどの覚悟がないなら、今すぐ降参しなさい。」
「私にとっての大事な人…ああ。もとから居なくなった方が面白いかも。乗った。乗ったよ。」
ダブルクロスのサーヴァント、ユダ。彼女にとって大事な、殺したいほどの人とは、当然。
彼女は破綻していたから、その人質に対する扱いも破綻していた。
しかしカゲミヤは違った。
「…僕がこの身を以て追いかけた人物は、君らの大事な人より歴史には影響ないかもしれない。
…だけど、僕は。
彼の為に、サーヴァントとなった。なら。
僕には、引く選択肢などない。
単なる戦闘じゃないんだろ!人形探しなら。それなら。ここなら。僕に地の利があるーーーー」
言って、戦闘から逃げ出す。否、駆け出す。
彼の存在を守る為に。それが、人理に仇なす行為だとしても。

「はあ…!はあ…!あった!」シャドウチェイサー、カゲミヤは探していた人形を見つけた。ユニクロのような服を着ていたそれは、間違いなく自分の存在意義を象ったものだった。
「…見つけられたようね。あなたの大事な人。」後ろから声がした。あの軍服女だ。心なしか悲痛な表情を浮かべている。
「あの女が自殺した。そして正体がわかった。持っていた銀貨30枚で。あいつは間違いなく、『イスカリオテのユダ』。世界を変えた裏切り者、ダブルクロス。」
マスターのいないダブルクロスは、存在意義を失い、あるいはその先の破滅を求めて自害したらしい。
彼女は明らかに泣きそうになっていた。
「そう!あいつにとっての大事な人は、間違いなくあの救世主!」
「どうすればいいの!偉大なワシントン大統領より、この歴史になくてはならない存在なのはわかってる。でも、どちらにせよ!」
「僕も詳しいわけではないけど、このままでは人類の歴史は崩壊すると言ってもいい、わけか…。」
「そう!あなたの大事な人が、どれほど大事なのかは知らない。きっと私にとっての大統領と同じぐらい、いやそれを敵に回せるくらい大事なのはわかる。でも、でも。」
このルールの致命的欠陥。必ず2人は、消滅する。「せめて歴史の崩壊を、最小限に食い止めなければならない。救世主が生まれなければ、この世界は基盤すら、聖杯戦争というシステムさえきっとなくなる。
…私は覚悟を決めた。あのユダの人形を生かす。それがきっと、世界を終わらせない手段だから。」
…カゲミヤは、別のことに思考を巡らせていた。
「サーヴァントが呼び出されている以上、聖杯が存在する。それを破壊すれば、この特異点とでも呼ぶべき空間は消えるんじゃないか?」
それは、願望。それでも、根拠はあった。
「それは、願ったり叶ったりだけど。そんなものがあるとして、場所がわからないじゃない。」
それには答えを返せた。
「この空間で、一番ありきたりな聖杯の置き場所は、あそこだ。」

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