kagemiya@なりきり

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伯林裏聖杯戦記断章「未だ野望潰えず」 2020/10/02 (金) 10:52:23

「おのれスコルツェニー…!」
ハウスホーファーは混乱の収まらない半壊したヴリル兵器生産工場を前に歯噛みしていた。
ハウスホーファーに、世界に黄金たるアーリアの血に栄光をもたすべく作られたヴリル・パワー兵器郡の見るも無惨な残骸に煮えたぎるような怒りが溢れ出す。
この光景を作り出したのはコミュニスト達のスパイと取るに足らないと見たたった一人の男、欧州で最も危険な男。オットー・スコルツェニー。
ハウスホーファーもヴェーレンハイトも聖杯戦争の見届け役として派遣された彼を取るに足らない男だと思っていた。
どんなに工作員としても優れていても神秘に全く興味はなく命じられた役割を果たすだけと機械的に果たすだけの男。
ハウスホーファーは一時期軍に在籍し少将にまで上り詰めた経験がある。
だから、彼の事を優秀だが命令にしか従うしかない兵士だと思っていた。いや、思い込まされた。
傲慢と余裕から自分を甘く見たと感じた彼はそれを利用し完全に此方を欺いた。
傲慢と余裕につけこんで奴が工事襲撃に仕掛けた工作は至ってシンプルな物だ。
幾つかの爆発物を工場内に仕掛け、爆発させると緊急事態だと武装親衛隊と陸軍を突入させた。

そして通信を遮断すると武装親衛隊陸軍にあることを伝えた『奴等はソ連のスパイだ、全て敵だ。銃を向ければ分かる、奴等は決して投降もせず反撃してくる』と。
一方ヴリル協会とアーネンエルベ機関には別の事を言った『我々の企みが全てバレた、奴等は全て敵だ。奴等は決して投降を許さない、生き延びたければ抵抗するしかない』
見事とさえ言っても良い、恐らくは内部に内通者がいたのだろう。
ヴリル協会アーネンエルベ機関と陸軍、武装親衛隊は真正面からぶつかり合い貴重なヴリル兵器さえも使用する事になった。
その隙を突きスコルツェニーとスパイ達はヴリル兵器の製造設備を爆破、兵器郡を破壊。
正直に言おう、大ダメージだ。これを立て直すには途方もない時間が必要だろう。

だが、まだだ。まだ終わってはいない。
残存したヴリル兵器とその青写真は私の手の元にある。
この戦力では聖杯の奪取は不可能だろう、ドイツ第三帝国は滅びるだろう。
しかし、ヴリルパワーが有る限りヴリル・ヤたるゲルマン民族の世界支配は必ず成し遂げる。
おゝ、偉大なるかなヴリル・ヤ! 地下深くシャンバラに棲まうものよ、必ず再臨の時は来ませり!
さぁ、来るが良い! 欧州で最も危険な男よ、コミュニストのスパイ達よ
私は逃げも隠れもしない、決着を付けよう

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