kagemiya@なりきり

MELTY BLOOD企画SSスレ / 26

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美影ルート・支とヴィルヘルミナ・デートについて 2024/02/20 (火) 22:07:18

「それで、どうだったのかしら」

久しぶりにミナと夜の街を歩いている最中の出来事。
すでに今日は死徒を3匹狩り終えて、家路に着こうという時だった。駆除したのはどれもこれも小粒で、放っておいても黒角さんや、ナナさんあたりに惨殺されていただろうが、それでも成果は成果。元より、他人がやるからという理由でサボるくらいなら、この戦いに参加はしていない。
そんなある程度の達成感のようなものをいている僕に、ミナは問いを投げてきた。

「どうって…何が?」
「とぼけないの。頭は回るのに、相手の言わんとすることがわからないはずがあるものですか。ミカゲとデートしたのでしょう?貴方がきちんと女の子をエスコートできたのか、私は不安で仕方なかったのよ」
「ああ……」

その件か。
デートという言い回しがどうもむず痒いが、事実僕は昨日(正確にはすでに一昨日)、久遠美影と水族館に出かけたのである。
久遠美影という少女の本質に近づくための新たな刺激。それを与えるための行動だった。当初は安直で浮かれたようなその手段に、僕も気乗りしなかったのだが、ミナの後押しと、『都合良く』そのタイミングでチケットが手に入ったこともあり、覚悟を決め、彼女をデートに誘ったのである。
だが、既に終わったこととはいえ気恥ずかしいことに変わりはない。
思い出として胸にしまっておきたいなんて殊勝な心は無いが、誰かに語って聞かせるなんてそれこそ浮かれポンチの阿呆のようで、情けなくってできやしない。

「別に、大したことはなかったよ」

そう言って歩く速度を上げることで、遠回しな拒絶を示したつもりだったのだが、それに気づかなかったのか、意図して無視したのか、いずれにせよミナには通用しなかった。

「待ちなさい。私にはプライベートへの配慮なんて欠片も無いくらい、根掘り葉掘りお昼に食べたデザートの数まで話させるくせに、貴方が逃げるのは狡いわ。私たちは対等な協力関係なのでしょう。その名目を保ちたいなら、洗いざらい話すといいわ」

ぐうの音も出ない正論だった。そう言われれば断ることはできない。
後衛の僕と前衛のキミでは持つべき情報の量が違うんだ。みたいなことを言い返そうかとも一瞬思ったが、さすがにそこまでムキになると、本気で呆れられそうだったので飲み込む。

「わかった、話すよ。でもキミが満足できるようなスペクタクルは無いよ。概要だけ見れば、本当にただの高校生のデートだ」
「ならその概要以外の部分を話してちょうだい。『普通じゃない』高校生のデートだった部分。貴方の心に刺さった部分を」

勘が鋭いというべきか、観察力があるというべきか。
そう、久遠美影は"化物"である。"化物"は人とは異なるから、"化物"なのだ。
異常が無ければそちらの方が異常である。
僕は肩をすくめて諦めのポーズを取る。

「そうだな━━━━じゃあまず最初から話そうか」

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