「生き残ったのはこれだけか………」 風磨小太郎は生存者の少なさに落胆するが直ぐにアルビスが作った絶好の逃げ出すチャンスを無下にしてはいけないと気持ちを立て直す。 「そうですよ!諦めてはいけません!私達1年生は二人とも【通常称号(ノーマルクラス)】ですけど……小太郎先輩とシャルル先輩は【特殊称号(スペシャルクラス)】ですし袁道先輩も【聖人格(セントレベル)】の通常称号じゃないですか!逃げれますって!」 巾木 林檎が落ち込んでいる皆を励ます様な大声で喋る。 その瞬間5人の背後で轟音が鳴り響く、砂煙が舞上り何かが降り立ったと思われる場所を目視することは出来なさそうだ。
「誰だ!敵かッ?」 【術聖】袁道はアーティファクト『渇望の蜜水』という流線形の杖を手にして一歩前に進み一年生をかばうようにして問いかける。 バシュッ―――― 突然袁道の体が爆発四散する。それと同時に【火士】『ジャンリ・ウォーカー』はマッチ型アーティファクト『無限マッチ』を使い着地点らしき場所を炎の壁で囲む。また【影】『風磨小太郎』は手裏剣型アーティファクト『風磨手裏剣』を、【音楽師】『巾木 林檎』はドラムスティック型アーティファクト『Blackbird』を構える。 「~♪」 炎の壁が突然爆風で消える。砂煙も同時に晴れ着地点も目視できるようになる。そこにいたのはミサイルランチャーらしきものを持った少年の姿だった。 「あなたは誰ッ!答えてッ!」 巾木 林檎は少年にそう問いかける。 「~♪ん?知らない?この曲?君のアーティファクトはリンゴ・スターのでしょ?だったら知ってるべきだと思うけどなぁ……Ticket to Rideってビートルズの曲だよ。」 少年は的外れな回答を言う。ジャンリはそれを聞いて怒ったのか『無限マッチ』の炎を少年に襲い掛からせる。 「もー、困るなぁ。せっかちな子は嫌いだよ?」 少年はミサイルランチャーを地面に落とし腰から二丁の拳銃を取り出す。それをジャンリに向けて放ち眉間に命中させる。 「僕の名前はブラッドノック、【リミッドブレイク―制限-】とも言われている。」 少年―――ブラッドノック―――は拳銃を腰のホルスターにしまいミサイルランチャーを拾う。 「そうか、お前はリミッドブレイカーか…………ッ!そうだ!おい貴様!アルビス、アルビス・ファーブルはどうした!」 「アルビス?ああ、あのお爺さんか!その人なら殺したよ、中々手強かったけど僕とは相性が悪かったみたいだね。」 そう言ってブラッドノックは人の手を小太郎に放り投げる。それは少し焦げてもいるが紛れもなくアルビス・ファーブルの手だった。 「………貴様ッ!ここから生きて帰れると思うなよッ!」 小太郎は『風磨手裏剣』をブラッドノックに投げる。そして何らかの印らしきものを組むと風磨手裏剣が100を超える数へと分身する。 「ちょっと待ってくださいよ!私も手伝いますっ!」 林檎は『Blackbird』を空を切るように叩くと衝撃波が発生し風磨手裏剣を加速させる。 「そんな物僕には何の意味もないよ。【リミッドブレイク】だ、パスポート」 『【リミッドブレイク―制限-】の使用命令が出されました・・・・・・・・使用許可出ました。』 ブラッドノックがどこかと通信しているように話す。すると空から謎の声が辺りに響きわたる、と同時にブラッドノックがミサイルランチャーを構え反動や弾切れを気にしない様子で風磨手裏剣を破壊する。視界が開けると二兆拳銃を取り出し一発ずつ小太郎と林檎の眉間に銃弾を撃ち込む。
「ふぅ……君は僕と戦わないのかい?【多重存在】」 ブラッドノックは唯一戦闘に参加していなかったシャルル・モノストーンに問いかける。 「………これは驚いた、俺と戦うなんて戯言、半世紀は聞いたことが無いぞ。いつから人間は俺と戦える様な高等な生物になったんだ?」 ブラッドノックの問いにオーバーリアクションで答えるシャルル、その表情はにやにや笑っていた。 「いや、流石にそちらの学園長【万能の天才】『レオナルド・ダ・ヴィンチ14世』を超える程の強さの貴方とは戦いたくはないかなぁ…世界最強の一角と戦って勝てる自信はないよ。」 バババババババババババ ヘリの音が近づいてくる。ブラッドノックが読んだようだ。 「ふん、俺を捕らえる気か?」 「まあ、そうだね。僕はやめといた方がいいって言ったんだけど上層部がどうしてもっていうからサ」 ヘリから無数の兵士が下りてくる。皆、武装しており100人弱はいそうだ。 「なあ、ブラッドノックだったか?」 「ン?なんだい?最強。」 「こいつら殺していいか?」 「僕を殺さないならね。」 会話が終わると同時にシャルルは何処からか刀を取り出して構える。 「………へえ、へし切り長谷部か、後でちゃんと持ち主に返すんだよ?」 「………我が家臣達よ、屍人の軍勢となり我が障害を蹴散らせ。」 刀を地面に突き刺すと周りの死体が鎧兜を着て動き出す。武装した兵士たちは其れに戸惑い対処が遅れ死体の波に捕らわれ死んでいった。残ったのはシャルルとブラッドノックだけになった。
「なあ、ブラッドノック」 「なんだい?最強」 「ドミピラの方にもお前らの軍勢は向かってるのか?」 「ああ、行ってるよ。確かねぇ、あっちには【リミットブレイク-有限-】が向かってるはずだよ。」 「へえ、じゃあそいつ等に一つ通信しときな。そっちの俺(・・・・・)は戦闘狂だってな。」 ―――――――ドミピラ学園第4都市『タジハマ』(旧インド)東部ドミピラ陣営――――――― 「糞ッ!なんて強さだッ!」 【リミッドブレイク-有限-】ダフタウンは困惑していた。 自身のリミッドブレイクは有限を突破する能力。スタミナも無限、体力も無限、弾数も無限、全てが無限の能力だった。 それ故に今回の任務も楽に終わるだろうと思っていた。だがしかし、敵が規格外の強さだった。 ダフタウンが戦場に付いたころにはその敵一人以外は全て物言わぬ死体となっていた。 そしてその敵はダフダウン目掛けて槍を投げてきたアーティファクト『天下三名槍・蜻蛉切』『天下三名槍・日本号』『天下三名槍・御手杵』の三槍が放つ衝撃はすさまじい物で無限の防御力を持つダフタウンに傷をつける程だった。
「おおおおおおおお俺の体にににに傷がッ!よくも!よくもよくもよくもよくもよくもおおおおおおおお!『100パイヤーズ』でぶっ潰してやるッ!」 ダフタウンは無限の装甲に傷をつけられてプライドにも傷がつけられたのか対巨大戦艦用パイルバンカー『100パイヤーズ』を取り出す。これは10t近い質量を持ち約5mの長さがあるが無限の筋力に無限の筋肉があるダフタウンにとっては0に等しいレベルだった。 「死ねえええええええ!」 無限の速度で謎の敵の頭部に100パイヤーズをフルパワーで放つ。100パイヤーズのフルパワーに周りの樹々や死体は吹き飛び辺りは荒地となった。それでも、謎の敵には傷一つついていなかった。 「…………」 ダフタウンは声も出なかった、敵の巨大さは無限を超えているように思えたからだ。 「さてお前に聞くがお前は止めはどれで刺されたい?俺たち『モノストーン』はアーティファクトに愛された者達の総称。俺は槍のアーティファクトに愛された『モノストーン』アイジャ・モノストーン、槍なら何でもいいぞ。グングニル、ゲイ・ボルグ、ブリューナク、ルーン、アイグロス、火尖槍、ロンギヌスの槍っとこいつは今はいたな――――さあ?どれがいい?」 「な、なら三又槍で頼む………」 「ほう、まあ一応あるが………そうだ、謙虚なお前に冥土の土産に一つ教えてやろう、貴様等富士山の結界の防衛施設に兵を送っただろう?」 「………ああ、送ったぞ…俺以上の奴を数十人な」 「ふむ、そいつら、今頃死に掛けてるぞ。最悪死んでるかもな。」 「なッ!奴らは俺より強いんだぞッ!【リミッドブレイク-法則-】の奴らがいるのに負けるはずない!」 「残念だがそこの門番はなぁ、単体の『モノストーン』なら倒せるんだよ。集団だと少し厳しいらしいがな。それでも倒せるそうだよ。恐らくオリジナルのモノストーンか創造者じゃないと倒せないだろうな。」 「オリジナル?創造者?何言ってるんだよッ!お前は!………いや!そんな事よりその門番ってのは何なんだよ!」 「いいだろう、教えてやろう、そいつらはな――――――」
1時間前富士山学園結界研究所及び結界警備所
「ゴッ―――――」 突然男性の研究員らしき人物の頭部が拉げる。 「おいッ!モブ夫ッ!」 「あきらめろッ!モブ太、奴は助からないんだ!」 「で、でも………モブ兵衛」 「そんなことより奴らがクッ――――――」 モブ夫と呼ばれた男性と同じように拉げるモブ兵衛の頭部 「モブ兵衛エエエエエエエエエエエエエ!」 「あらあら、はしたない声ですこと。ねえ?ベンローマック?」 「俺にはお前の趣味が分からないよ、スプリングバンク………」 通路の突き当りから二人の男女が現れる。 女性の方も長身だが男性の方はさらに長身で2m近くありジャンプすると天井に頭が付きそうなほどだった。 「だ、誰だ!お前たちは!」 「俺か?俺はドリハウのベンローマック、【リミッドブレイク-法則-】を持っている。」 「私は同じくドリハウのスプリングバンク、これも同じく【リミッドブレイク-法則-】よ」 「な、なんで俺に其処まで教えるんだよッ!」 「あら、あなたが聞いたんじゃない………まあいいわ、あのねぇ、あなたは私たちの学園に連れてかれるのよ、だから教えたの、さあ行くわよ、大丈夫。あなたは死なないわ、私が生かすもの。」 スプリングバンクはモブ太に近付き体を縄で拘束しようとする。が、その瞬間縄が消し炭になり離れた場所の天井が壊れスプリングバンクの手からモブ太が引き離される。 「ッ!誰っ!答えなさい!」 スプリングバンクは謎の人影に向かって問いかける。 「あぁ、こんな世界壊れてしまえばいいのに」 人影は問いに答えるように独白する。よく見るとモブ太は白目を向き舌をだらしなく出し快楽に溺れ乍ら死んでいた。 「それは答えになってないわよ!仕方ないわね…行くわよ!ベンローマックッ!」 スプリングバンクは腰の拳銃を引き抜き法則を無視した銃弾を敵に向かって放つ。その銃弾は一瞬で敵の目の前まで移動し直撃する。 「銃弾はやめてくれ、トラウマなんだ。死にはしないし痛くも無い、でも怖いんだよ。」 だがしかし、その一撃は無意味だったようだ。 「なによ!何なのよ!」 「どけッ!スプリングバンク!Belize All Mall、ベリーブラザーズ&ラッド!」 ベンローマックの腕から無数の火の玉が放たれて炸裂し、敵に襲い掛かる。がそれでも――― 「俺は平和主義者なんだからやめてくれよ。ああ、それももう目指す必要も無いのか。なら『スレンダーマン』、殺せ」 何処からともなくスーツを着た全身が黒色の細身で長身な人型の生物が現れる。それには無数の触手が生えていた。 「ね、ねぇベンローマック?なんだか寒気がするんだけど……」 「ああ、俺もするスプリングバング、なんでなんだろうな、この地球の法則は無意味なはずなのに………」 「それはな、そこの『スレンダーマン』はお前たちと同じようなものだ、この世の法則を受けない存在なんだよ。つまりお前たちは其処の『スレンダーマン』の『スレンダー病』にかかったわけだ、つまり死ぬ」 そう言うと段々スプリングバングとベンローマックの体が崩れでいく、そして数十秒経過すると完全に砂になっていった。 「さすがスレンダーマン、仕事は速いな。」 ピリリリリリリリリ 携帯の着信音が辺りに鳴り響く 「ん、俺だ。そっちは終わったか?」 『ええ、貴方が強い奴らを引き付けてくれたおかげよ、【伝説を統べる伝説】ジョン・レノン』 「貴女に言われると素直に嬉しいよ【不老不死】若狭の白比丘尼さん。」 『もう、こんなおばちゃんにそんなこと言っても何も出ないわよ。』 「おばちゃんって見た目は20代じゃないですか、まあ切りますよ」 プチッ 「そういや今年から白比丘尼さんの子孫が学園に入学するんだったか………まあ関係ないか!」 そう言ってジョン・レノンは暗闇の中に消えていった。
富士山学園学園長室 「ふむ、無事『八百比丘尼の肉』が定着したようだな。」 「特に変化はないみたいですけど…」 「いやいや、見れば分かる、お主は今アーティファクトと一心同体となっておる。その証拠に私の『観察の魔眼』でお主の称号が見えるからな」 「称号?どんなのですか?」 「お主の称号は【死士】、と言う事はお主の所属は血沸き肉躍る舞台()エンドレス・サーカスだな」 そう言って足利文人は部屋の明かりを消しプロジェクターを付け映像を流す。 「これがお主の所属する部隊の戦闘映像だ、心してみろ。」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そこはこの世界の何処かの戦場、数名対数千の軍勢との戦闘が繰り広げられていた。 「奴らを血祭りに上げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」 軍勢の指揮官らしき人物が号令を上げると軍勢が数名の部隊に押し寄せる。 「よっこらっしょっと」 そのうちの一名が凄まじい速度で軍勢に突っ込むと速度を増しながら攻撃をする素振りも見せず次々と兵士を倒していく。 「な、なんだ!?足の感覚が無い……?」 「お、俺は手の感覚が無いぞ!」 「あぁぁぁああぁぁ」 混乱する兵士たちを傍目に駆け抜けた人影――――【盗神】石川五右衛門――――は呟く。 「無防備なんだよ、天下の大泥棒の前では用心の用心の用心の用心のそのまた用心をしても盗まれるがな、ハハハハハ!」 また別の場所では…… 「奴は空を見上げている!隙だらけだ!全員で畳みかけろ!」 「オオオオオオオオオオオオオ!」 数百の軍勢が天体望遠鏡をのぞいている人物に襲い掛かる。だがそれを気にも留めないかの様子で独り言を話し出す。 「嗚呼、また落ちた、星が落ちた、落ちた、落ちた、落ちた、落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた――――――堕ちたなぁ」 そう紡ぐと空から無数の1㎝程の隕石が降ってきて軍勢に襲い掛り軍勢は瞬く間に壊滅した。 「嗚呼、星は綺麗だな」 【狂星を見るひと】ガリレイス・ガリレウスは軍勢などいなかったかのように天体望遠鏡を覗くだけだった。 また別の場所 「シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ」 「おい、アルバート、そいつはもう死んでるぞ」 アルバートと呼ばれたシネと連呼する男の周りには原型を留めていない死体らしきものが無数にあった。彼は【堕とし物】ウルベルト・ビン・ラディカルの言葉に耳を傾けずただ死体を素手で壊すだけだった。 ドミピラ本陣 「タワー中将!敵の隊長格と思われる存在がここ本陣目掛けて一直線に走ってきてます!想像以上に手強く足止めが意味をなさないほどです!」 「そうか………お前たち雑兵は今からここを撤退しろ……ここは今から地獄となる。その前に出来るだけ遠くに逃げろ」 「ハッ!分かりましたッ!おい、お前たちッ!タワー中将の命令だッ!今からここを離れるぞ!…………では、ご武運を。」 タワー中将と呼ばれた老練の男性は重い腰を上げ待ち構える敵を待つ。 「へぇ、ここが本陣か、いい趣味してるじゃんか!」 味方の撤退が完了したころに到着した隊長格。彼女はそう言うと一瞬でタワー中将の背後に近寄り必殺の一撃を喰らわせようとした。だがしかし―――― 「へえ、やるじゃん」 タワー中将の【脆く高いはバベルの塔】の力の一つ、雷の鎧により必殺の一撃を紙一重で耐えきりすれ違いざまに雷の矢で数発入れるタワー中将。 「でも私達家族からは逃れられないよ。【ソーニー・ビーン・ファミリー】、この一撃は総てを食べる」 女の蹴りが雷を食べタワー中将の下半身を食べる。そのまま女は残ったタワーの体を食べ、周りに落ちていた死体を食べだした。
4円
富士山学園学園長室 「なんだよ………これ………」 白比丘は絶句した。あまりにも惨過ぎる一方的な戦闘、否虐殺に吐き気がしたのだ。 「お主の言う事も分かる、がお主の称号【死士】は周りにいる人間の命を無意識に刈り取る、まあ端的に言えば無意識に人を殺しだしてしまうといったものだ。そんな迷惑極まりない称号持ちを普通の部隊に所属させてしまえば恐らく一ヶ月で壊滅するだろう。当然お前の力自体は中の下ほどだ。だがしかし、お前のアーティファクト【八百比丘尼の肉】は食ったものを不死にする、というよりは無限に再生する能力を強制的に与えるものだ。これではいつかは普通の部隊の将では死ぬだろう。其れに対応できるのは全員がリミッドブレイカーレベルの強さの血沸き肉躍る舞台(クレイジーサーカス)か私直属の部隊に入ってもらうしかない。しかし私直属の部隊は学園長親衛隊となる。それでは学園長の身の安全が危うい。だから血沸き肉躍る舞台にお主は所属してもらうことになるのだ。」 「しかし………」 「おっと、忘れるところだった。血沸き肉躍る舞台のリーダーの戦闘映像を見て貰うのを忘れていた。」 そう言って文人はまたプロジェクターを起動し映像を流し出した ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 映し出された景色には二人の向かい合う男の姿が映し出されていた。片方はシルクハットにタキシード、手にはステッキが握られておりマジシャンの様な恰好をしていた。もう片方は上半身裸でジーパンを履きサングラスを掛けた長身の男性だった。 先に動いたのはマジシャン風の男、ステッキを長身の男性に投げつけそれを目くらましに詠唱を始めた。 「食らいつくその顎、かきむしるその爪、らんらんたる眼燃やしたる、おぐらてしき森の奥より、ひょうひょうと風切り飛びきたれ。道理で測れぬその姿はジャバウォック。燻り狂った見るに堪えない体表とすべてを喰らう速度。道理で測れぬその異形はバンダースナッチ」 顔が魚のドラゴンと歪で肥大した隻腕と頭部が存在しない巨人が出現する。それに長身の男性は一切怯むことはなかった。 「流石だな、このレベルの造形物を創り出すとは、アーティファクト最強ともいわれる【Alice in wonderland】と【Crazy king castle】の力もあるとはいえここまでとはな、やはり本物は格が違うな、クフ」 クフと呼ばれたマジシャン風の男は何も答えずジャバウォックとバンダースナッチを長身の男性に襲い掛からせる。 「だがお前は知らないようだな。本物の最強と言うものを――――――【リミッドブレイク-全-】【怒りの日の審判】【シオンの街への鎮魂歌】…これが最強だ、そして――――――」 長身の男性の背後から無限と言ってもいい数の全ての物が出てくる。それは剣や槍といった武具から服や下着、バケツにヤカンといった日用品、車や電車といった大型の物からピラミッドや大仏、宮殿といった建造物までもがジャバウォックとバンダースナッチ、クフに襲い掛かる。 「【LIMITBREAK-ERROR-】【WORLD-ANSWER-】【MITOCHONDRIA‐EVE‐】これが総てだ」 長身の男性の背後から出現した物すべてが無くなり世界そのものが無くなったかのように辺り一面が黒になる。そこにあるものはクフと長身の男性のみでありそこで映像は途切れた。 「これが血沸き肉躍る舞台のリーダー、『ピース・モノストーン』の戦いだ。」 白比丘はそこで目の前が真っ暗になり意識を失い昏倒した
見にくいです(´;ω;`)
「生き残ったのはこれだけか………」通常称号 】ですけど……小太郎先輩とシャルル先輩は【特殊称号 】ですし袁道先輩も【聖人格 】の通常称号じゃないですか!逃げれますって!」
風磨小太郎は生存者の少なさに落胆するが直ぐにアルビスが作った絶好の逃げ出すチャンスを無下にしてはいけないと気持ちを立て直す。
「そうですよ!諦めてはいけません!私達1年生は二人とも【
巾木 林檎が落ち込んでいる皆を励ます様な大声で喋る。
その瞬間5人の背後で轟音が鳴り響く、砂煙が舞上り何かが降り立ったと思われる場所を目視することは出来なさそうだ。
「誰だ!敵かッ?」
【術聖】袁道はアーティファクト『渇望の蜜水』という流線形の杖を手にして一歩前に進み一年生をかばうようにして問いかける。
バシュッ――――
突然袁道の体が爆発四散する。それと同時に【火士】『ジャンリ・ウォーカー』はマッチ型アーティファクト『無限マッチ』を使い着地点らしき場所を炎の壁で囲む。また【影】『風磨小太郎』は手裏剣型アーティファクト『風磨手裏剣』を、【音楽師】『巾木 林檎』はドラムスティック型アーティファクト『Blackbird』を構える。
「~♪」
炎の壁が突然爆風で消える。砂煙も同時に晴れ着地点も目視できるようになる。そこにいたのはミサイルランチャーらしきものを持った少年の姿だった。
「あなたは誰ッ!答えてッ!」
巾木 林檎は少年にそう問いかける。
「~♪ん?知らない?この曲?君のアーティファクトはリンゴ・スターのでしょ?だったら知ってるべきだと思うけどなぁ……Ticket to Rideってビートルズの曲だよ。」
少年は的外れな回答を言う。ジャンリはそれを聞いて怒ったのか『無限マッチ』の炎を少年に襲い掛からせる。
「もー、困るなぁ。せっかちな子は嫌いだよ?」
少年はミサイルランチャーを地面に落とし腰から二丁の拳銃を取り出す。それをジャンリに向けて放ち眉間に命中させる。
「僕の名前はブラッドノック、【リミッドブレイク―制限-】とも言われている。」
少年―――ブラッドノック―――は拳銃を腰のホルスターにしまいミサイルランチャーを拾う。
「そうか、お前はリミッドブレイカーか…………ッ!そうだ!おい貴様!アルビス、アルビス・ファーブルはどうした!」
「アルビス?ああ、あのお爺さんか!その人なら殺したよ、中々手強かったけど僕とは相性が悪かったみたいだね。」
そう言ってブラッドノックは人の手を小太郎に放り投げる。それは少し焦げてもいるが紛れもなくアルビス・ファーブルの手だった。
「………貴様ッ!ここから生きて帰れると思うなよッ!」
小太郎は『風磨手裏剣』をブラッドノックに投げる。そして何らかの印らしきものを組むと風磨手裏剣が100を超える数へと分身する。
「ちょっと待ってくださいよ!私も手伝いますっ!」
林檎は『Blackbird』を空を切るように叩くと衝撃波が発生し風磨手裏剣を加速させる。
「そんな物僕には何の意味もないよ。【リミッドブレイク】だ、パスポート」
『【リミッドブレイク―制限-】の使用命令が出されました・・・・・・・・使用許可出ました。』
ブラッドノックがどこかと通信しているように話す。すると空から謎の声が辺りに響きわたる、と同時にブラッドノックがミサイルランチャーを構え反動や弾切れを気にしない様子で風磨手裏剣を破壊する。視界が開けると二兆拳銃を取り出し一発ずつ小太郎と林檎の眉間に銃弾を撃ち込む。
「ふぅ……君は僕と戦わないのかい?【多重存在】」
ブラッドノックは唯一戦闘に参加していなかったシャルル・モノストーンに問いかける。
「………これは驚いた、俺と戦うなんて戯言、半世紀は聞いたことが無いぞ。いつから人間は俺と戦える様な高等な生物になったんだ?」
ブラッドノックの問いにオーバーリアクションで答えるシャルル、その表情はにやにや笑っていた。
「いや、流石にそちらの学園長【万能の天才】『レオナルド・ダ・ヴィンチ14世』を超える程の強さの貴方とは戦いたくはないかなぁ…世界最強の一角と戦って勝てる自信はないよ。」
バババババババババババ
ヘリの音が近づいてくる。ブラッドノックが読んだようだ。
「ふん、俺を捕らえる気か?」
「まあ、そうだね。僕はやめといた方がいいって言ったんだけど上層部がどうしてもっていうからサ」
ヘリから無数の兵士が下りてくる。皆、武装しており100人弱はいそうだ。
「なあ、ブラッドノックだったか?」
「ン?なんだい?最強。」
「こいつら殺していいか?」
「僕を殺さないならね。」
会話が終わると同時にシャルルは何処からか刀を取り出して構える。
「………へえ、へし切り長谷部か、後でちゃんと持ち主に返すんだよ?」
「………我が家臣達よ、屍人の軍勢となり我が障害を蹴散らせ。」
刀を地面に突き刺すと周りの死体が鎧兜を着て動き出す。武装した兵士たちは其れに戸惑い対処が遅れ死体の波に捕らわれ死んでいった。残ったのはシャルルとブラッドノックだけになった。
「なあ、ブラッドノック」そっちの俺 は戦闘狂だってな。」
「なんだい?最強」
「ドミピラの方にもお前らの軍勢は向かってるのか?」
「ああ、行ってるよ。確かねぇ、あっちには【リミットブレイク-有限-】が向かってるはずだよ。」
「へえ、じゃあそいつ等に一つ通信しときな。
―――――――ドミピラ学園第4都市『タジハマ』(旧インド)東部ドミピラ陣営―――――――
「糞ッ!なんて強さだッ!」
【リミッドブレイク-有限-】ダフタウンは困惑していた。
自身のリミッドブレイクは有限を突破する能力。スタミナも無限、体力も無限、弾数も無限、全てが無限の能力だった。
それ故に今回の任務も楽に終わるだろうと思っていた。だがしかし、敵が規格外の強さだった。
ダフタウンが戦場に付いたころにはその敵一人以外は全て物言わぬ死体となっていた。
そしてその敵はダフダウン目掛けて槍を投げてきたアーティファクト『天下三名槍・蜻蛉切』『天下三名槍・日本号』『天下三名槍・御手杵』の三槍が放つ衝撃はすさまじい物で無限の防御力を持つダフタウンに傷をつける程だった。
「おおおおおおおお俺の体にににに傷がッ!よくも!よくもよくもよくもよくもよくもおおおおおおおお!『100パイヤーズ』でぶっ潰してやるッ!」
ダフタウンは無限の装甲に傷をつけられてプライドにも傷がつけられたのか対巨大戦艦用パイルバンカー『100パイヤーズ』を取り出す。これは10t近い質量を持ち約5mの長さがあるが無限の筋力に無限の筋肉があるダフタウンにとっては0に等しいレベルだった。
「死ねえええええええ!」
無限の速度で謎の敵の頭部に100パイヤーズをフルパワーで放つ。100パイヤーズのフルパワーに周りの樹々や死体は吹き飛び辺りは荒地となった。それでも、謎の敵には傷一つついていなかった。
「…………」
ダフタウンは声も出なかった、敵の巨大さは無限を超えているように思えたからだ。
「さてお前に聞くがお前は止めはどれで刺されたい?俺たち『モノストーン』はアーティファクトに愛された者達の総称。俺は槍のアーティファクトに愛された『モノストーン』アイジャ・モノストーン、槍なら何でもいいぞ。グングニル、ゲイ・ボルグ、ブリューナク、ルーン、アイグロス、火尖槍、ロンギヌスの槍っとこいつは今はいたな――――さあ?どれがいい?」
「な、なら三又槍で頼む………」
「ほう、まあ一応あるが………そうだ、謙虚なお前に冥土の土産に一つ教えてやろう、貴様等富士山の結界の防衛施設に兵を送っただろう?」
「………ああ、送ったぞ…俺以上の奴を数十人な」
「ふむ、そいつら、今頃死に掛けてるぞ。最悪死んでるかもな。」
「なッ!奴らは俺より強いんだぞッ!【リミッドブレイク-法則-】の奴らがいるのに負けるはずない!」
「残念だがそこの門番はなぁ、単体の『モノストーン』なら倒せるんだよ。集団だと少し厳しいらしいがな。それでも倒せるそうだよ。恐らくオリジナルのモノストーンか創造者じゃないと倒せないだろうな。」
「オリジナル?創造者?何言ってるんだよッ!お前は!………いや!そんな事よりその門番ってのは何なんだよ!」
「いいだろう、教えてやろう、そいつらはな――――――」
1時間前富士山学園結界研究所及び結界警備所
「ゴッ―――――」
突然男性の研究員らしき人物の頭部が拉げる。
「おいッ!モブ夫ッ!」
「あきらめろッ!モブ太、奴は助からないんだ!」
「で、でも………モブ兵衛」
「そんなことより奴らがクッ――――――」
モブ夫と呼ばれた男性と同じように拉げるモブ兵衛の頭部
「モブ兵衛エエエエエエエエエエエエエ!」
「あらあら、はしたない声ですこと。ねえ?ベンローマック?」
「俺にはお前の趣味が分からないよ、スプリングバンク………」
通路の突き当りから二人の男女が現れる。
女性の方も長身だが男性の方はさらに長身で2m近くありジャンプすると天井に頭が付きそうなほどだった。
「だ、誰だ!お前たちは!」
「俺か?俺はドリハウのベンローマック、【リミッドブレイク-法則-】を持っている。」
「私は同じくドリハウのスプリングバンク、これも同じく【リミッドブレイク-法則-】よ」
「な、なんで俺に其処まで教えるんだよッ!」
「あら、あなたが聞いたんじゃない………まあいいわ、あのねぇ、あなたは私たちの学園に連れてかれるのよ、だから教えたの、さあ行くわよ、大丈夫。あなたは死なないわ、私が生かすもの。」
スプリングバンクはモブ太に近付き体を縄で拘束しようとする。が、その瞬間縄が消し炭になり離れた場所の天井が壊れスプリングバンクの手からモブ太が引き離される。
「ッ!誰っ!答えなさい!」
スプリングバンクは謎の人影に向かって問いかける。
「あぁ、こんな世界壊れてしまえばいいのに」
人影は問いに答えるように独白する。よく見るとモブ太は白目を向き舌をだらしなく出し快楽に溺れ乍ら死んでいた。
「それは答えになってないわよ!仕方ないわね…行くわよ!ベンローマックッ!」
スプリングバンクは腰の拳銃を引き抜き法則を無視した銃弾を敵に向かって放つ。その銃弾は一瞬で敵の目の前まで移動し直撃する。
「銃弾はやめてくれ、トラウマなんだ。死にはしないし痛くも無い、でも怖いんだよ。」
だがしかし、その一撃は無意味だったようだ。
「なによ!何なのよ!」
「どけッ!スプリングバンク!Belize All Mall、ベリーブラザーズ&ラッド!」
ベンローマックの腕から無数の火の玉が放たれて炸裂し、敵に襲い掛かる。がそれでも―――
「俺は平和主義者なんだからやめてくれよ。ああ、それももう目指す必要も無いのか。なら『スレンダーマン』、殺せ」
何処からともなくスーツを着た全身が黒色の細身で長身な人型の生物が現れる。それには無数の触手が生えていた。
「ね、ねぇベンローマック?なんだか寒気がするんだけど……」
「ああ、俺もするスプリングバング、なんでなんだろうな、この地球の法則は無意味なはずなのに………」
「それはな、そこの『スレンダーマン』はお前たちと同じようなものだ、この世の法則を受けない存在なんだよ。つまりお前たちは其処の『スレンダーマン』の『スレンダー病』にかかったわけだ、つまり死ぬ」
そう言うと段々スプリングバングとベンローマックの体が崩れでいく、そして数十秒経過すると完全に砂になっていった。
「さすがスレンダーマン、仕事は速いな。」
ピリリリリリリリリ
携帯の着信音が辺りに鳴り響く
「ん、俺だ。そっちは終わったか?」
『ええ、貴方が強い奴らを引き付けてくれたおかげよ、【伝説を統べる伝説】ジョン・レノン』
「貴女に言われると素直に嬉しいよ【不老不死】若狭の白比丘尼さん。」
『もう、こんなおばちゃんにそんなこと言っても何も出ないわよ。』
「おばちゃんって見た目は20代じゃないですか、まあ切りますよ」
プチッ
「そういや今年から白比丘尼さんの子孫が学園に入学するんだったか………まあ関係ないか!」
そう言ってジョン・レノンは暗闇の中に消えていった。
富士山学園学園長室血沸き肉躍る舞台 だな」
「ふむ、無事『八百比丘尼の肉』が定着したようだな。」
「特に変化はないみたいですけど…」
「いやいや、見れば分かる、お主は今アーティファクトと一心同体となっておる。その証拠に私の『観察の魔眼』でお主の称号が見えるからな」
「称号?どんなのですか?」
「お主の称号は【死士】、と言う事はお主の所属は
そう言って足利文人は部屋の明かりを消しプロジェクターを付け映像を流す。
「これがお主の所属する部隊の戦闘映像だ、心してみろ。」
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そこはこの世界の何処かの戦場、数名対数千の軍勢との戦闘が繰り広げられていた。
「奴らを血祭りに上げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
軍勢の指揮官らしき人物が号令を上げると軍勢が数名の部隊に押し寄せる。
「よっこらっしょっと」
そのうちの一名が凄まじい速度で軍勢に突っ込むと速度を増しながら攻撃をする素振りも見せず次々と兵士を倒していく。
「な、なんだ!?足の感覚が無い……?」
「お、俺は手の感覚が無いぞ!」
「あぁぁぁああぁぁ」
混乱する兵士たちを傍目に駆け抜けた人影――――【盗神】石川五右衛門――――は呟く。
「無防備なんだよ、天下の大泥棒の前では用心の用心の用心の用心のそのまた用心をしても盗まれるがな、ハハハハハ!」
また別の場所では……
「奴は空を見上げている!隙だらけだ!全員で畳みかけろ!」
「オオオオオオオオオオオオオ!」
数百の軍勢が天体望遠鏡をのぞいている人物に襲い掛かる。だがそれを気にも留めないかの様子で独り言を話し出す。
「嗚呼、また落ちた、星が落ちた、落ちた、落ちた、落ちた、落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた落ちた――――――堕ちたなぁ」
そう紡ぐと空から無数の1㎝程の隕石が降ってきて軍勢に襲い掛り軍勢は瞬く間に壊滅した。
「嗚呼、星は綺麗だな」
【狂星を見るひと】ガリレイス・ガリレウスは軍勢などいなかったかのように天体望遠鏡を覗くだけだった。
また別の場所
「シネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネシネ」
「おい、アルバート、そいつはもう死んでるぞ」
アルバートと呼ばれたシネと連呼する男の周りには原型を留めていない死体らしきものが無数にあった。彼は【堕とし物】ウルベルト・ビン・ラディカルの言葉に耳を傾けずただ死体を素手で壊すだけだった。
ドミピラ本陣
「タワー中将!敵の隊長格と思われる存在がここ本陣目掛けて一直線に走ってきてます!想像以上に手強く足止めが意味をなさないほどです!」
「そうか………お前たち雑兵は今からここを撤退しろ……ここは今から地獄となる。その前に出来るだけ遠くに逃げろ」
「ハッ!分かりましたッ!おい、お前たちッ!タワー中将の命令だッ!今からここを離れるぞ!…………では、ご武運を。」
タワー中将と呼ばれた老練の男性は重い腰を上げ待ち構える敵を待つ。
「へぇ、ここが本陣か、いい趣味してるじゃんか!」
味方の撤退が完了したころに到着した隊長格。彼女はそう言うと一瞬でタワー中将の背後に近寄り必殺の一撃を喰らわせようとした。だがしかし――――
「へえ、やるじゃん」
タワー中将の【脆く高いはバベルの塔】の力の一つ、雷の鎧により必殺の一撃を紙一重で耐えきりすれ違いざまに雷の矢で数発入れるタワー中将。
「でも私達家族からは逃れられないよ。【ソーニー・ビーン・ファミリー】、この一撃は総てを食べる」
女の蹴りが雷を食べタワー中将の下半身を食べる。そのまま女は残ったタワーの体を食べ、周りに落ちていた死体を食べだした。
4円
富士山学園学園長室血沸き肉躍る舞台 か私直属の部隊に入ってもらうしかない。しかし私直属の部隊は学園長親衛隊となる。それでは学園長の身の安全が危うい。だから血沸き肉躍る舞台にお主は所属してもらうことになるのだ。」
「なんだよ………これ………」
白比丘は絶句した。あまりにも惨過ぎる一方的な戦闘、否虐殺に吐き気がしたのだ。
「お主の言う事も分かる、がお主の称号【死士】は周りにいる人間の命を無意識に刈り取る、まあ端的に言えば無意識に人を殺しだしてしまうといったものだ。そんな迷惑極まりない称号持ちを普通の部隊に所属させてしまえば恐らく一ヶ月で壊滅するだろう。当然お前の力自体は中の下ほどだ。だがしかし、お前のアーティファクト【八百比丘尼の肉】は食ったものを不死にする、というよりは無限に再生する能力を強制的に与えるものだ。これではいつかは普通の部隊の将では死ぬだろう。其れに対応できるのは全員がリミッドブレイカーレベルの強さの
「しかし………」
「おっと、忘れるところだった。血沸き肉躍る舞台のリーダーの戦闘映像を見て貰うのを忘れていた。」
そう言って文人はまたプロジェクターを起動し映像を流し出した
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映し出された景色には二人の向かい合う男の姿が映し出されていた。片方はシルクハットにタキシード、手にはステッキが握られておりマジシャンの様な恰好をしていた。もう片方は上半身裸でジーパンを履きサングラスを掛けた長身の男性だった。
先に動いたのはマジシャン風の男、ステッキを長身の男性に投げつけそれを目くらましに詠唱を始めた。
「食らいつくその顎、かきむしるその爪、らんらんたる眼燃やしたる、おぐらてしき森の奥より、ひょうひょうと風切り飛びきたれ。道理で測れぬその姿はジャバウォック。燻り狂った見るに堪えない体表とすべてを喰らう速度。道理で測れぬその異形はバンダースナッチ」
顔が魚のドラゴンと歪で肥大した隻腕と頭部が存在しない巨人が出現する。それに長身の男性は一切怯むことはなかった。
「流石だな、このレベルの造形物を創り出すとは、アーティファクト最強ともいわれる【Alice in wonderland】と【Crazy king castle】の力もあるとはいえここまでとはな、やはり本物は格が違うな、クフ」
クフと呼ばれたマジシャン風の男は何も答えずジャバウォックとバンダースナッチを長身の男性に襲い掛からせる。
「だがお前は知らないようだな。本物の最強と言うものを――――――【リミッドブレイク-全-】【怒りの日の審判】【シオンの街への鎮魂歌】…これが最強だ、そして――――――」
長身の男性の背後から無限と言ってもいい数の全ての物が出てくる。それは剣や槍といった武具から服や下着、バケツにヤカンといった日用品、車や電車といった大型の物からピラミッドや大仏、宮殿といった建造物までもがジャバウォックとバンダースナッチ、クフに襲い掛かる。
「【LIMITBREAK-ERROR-】【WORLD-ANSWER-】【MITOCHONDRIA‐EVE‐】これが総てだ」
長身の男性の背後から出現した物すべてが無くなり世界そのものが無くなったかのように辺り一面が黒になる。そこにあるものはクフと長身の男性のみでありそこで映像は途切れた。
「これが血沸き肉躍る舞台のリーダー、『ピース・モノストーン』の戦いだ。」
白比丘はそこで目の前が真っ暗になり意識を失い昏倒した
見にくいです(´;ω;`)