日蓮正宗の『三大秘法義』に記載されている円融三諦の「三三九諦の相」について。
(315ページから316ページに記載)
この「三大秘法義」は日顕上人の著書ですが、この説明文とここで示されている三諦互融図が日顕氏のものではないことは氏が講義する的外れな三諦論を拝すれば容易に察しがつきます。
「空・仮・中の三諦が円融である故に、各々にさらに三諦を具える義が成立する。すなわち、空諦の空は泯有の意、空諦の仮は立空の意、空諦の中は泯立融法の意であり、仮諦の空は泯空の意、仮諦の仮は立有の意、仮諦の中は泯立融法の意である。また、中諦の空は双泯空有の意であり、中諦の仮は双立空有の意、中諦の中は双遮双容の意である。ここに、三三九諦の相がある。
この九諦につき、空諦泯法の意としましては、泯有の空、泯空の空、双泯空有の空がある。次に、仮諦立法の意としては、立空の仮、立有の仮、双立空有の仮となる。次に、中諦容法の意としては、空においての泯立融法の中、仮においての泯立融法の中、双遮双容の中となる。この空諦泯法、仮諦立法、中諦容法がそのまま円融であり、元の三諦と開合の関係において互融するのである」
では、誰が示されたものなのか、以前ネットで調べてみましたところ、日蓮正宗の妙通寺のホームページに日淳上人の空・仮・中の三諦のご指南が掲載されておりまして、その中に、
「かくて最後に円融の三諦でありますが、此れは、空・仮・中の三諦は各々、また三諦を具するとして相即を説くのであります。即ち三即一、一即三といひ、不縦、不横といって縦や横に並ぶのではないといふのであります。若し空といへば一切がそのまま空、仮といへば一切がそのまま仮、中といへば一切がそのまま中であるといふのであります。それを即空、即仮、即中と申すのであります。今此れを図にすれば、次の如くであります」
https://www.myotsuuji.info/65世-日淳上人ご指南-空仮中三諦-仏教の基本理念/
とありまして、その図がサイトでは掲載されておりません。妙通寺さんへ連絡を取り確認しましたが、妙通寺さんがHPへ記載する際に元とした資料にも、既にその図が無かったということでした。
おそらくここで示されている図が「三大秘法義」で紹介されている三諦互融の図だと思われます。
しかし、この日淳上人のご指南は昭和29年6月の「大白蓮華誌」に掲載されたもので、現在入手困難な為、確認は出来ておりません。
ちなみに、こちらは仏教学の大野榮人博士(号)がまとめられた『法華玄義』の研究という研究論文の中で紹介されている三諦互融の図です。
数年前、当時、曹洞宗天寧寺でご住職をなされていた博士本人に連絡を取り、この図の出どころをお尋ねしましたところ、天台の円融三諦を研究した結果導き出された博士ご本人が顕された構図だとの事でした。