法介
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2024/11/25 (月) 03:59:37
菩薩瓔珞本業經のサンスクリット仏典かパーリ仏典は存在しますか?
『菩薩瓔珞本業経(ぼさつようらくほんごうきょう)』は、大乗仏教の経典であり、特に中国や日本で受け入れられたものですが、現在確認されている範囲では、この経典のサンスクリット語原典やパーリ語原典は存在していません。以下に詳細を説明します。
1. 『菩薩瓔珞本業経』の成立背景
- 『菩薩瓔珞本業経』は、中国に伝わった際に翻訳された大乗仏教の経典です。この経典の内容は、菩薩の修行階梯(十地)や戒律を中心としています。
- この経典は、特に菩薩戒を説く点で重要視され、中国や日本の仏教において大きな影響を与えました。日本では、法相宗や華厳宗、天台宗などで菩薩戒の基礎として利用されています。
2. サンスクリット仏典の存在について
- 現在のところ、『菩薩瓔珞本業経』のサンスクリット語原典は発見されていません。これにより、以下の可能性が考えられます:
- 翻訳経典として成立
この経典は、中国で翻訳されたとされていますが、その原典がサンスクリット語であったかどうかは不明です。原典そのものが失われている可能性があります。 - 中国起源説
一部の学者は、この経典がインドからの伝来ではなく、中国で編集・創作された可能性を指摘しています。中国で創作された経典(疑経)の一つであると考えられる場合、その原典は存在しないことになります。
- 翻訳経典として成立
3. パーリ仏典との関係
- 『菩薩瓔珞本業経』は大乗仏教の経典であり、パーリ仏典(上座部仏教のテキスト群)は主に初期仏教の教えを伝えるものです。このため、『菩薩瓔珞本業経』がパーリ語の仏典として存在する可能性は極めて低いです。
- 大乗仏教の経典は一般的に、パーリ仏典に直接対応するものは少なく、『菩薩瓔珞本業経』もその例外ではありません。
4. 学術的な研究と位置づけ
- この経典については、内容が菩薩道や菩薩戒に関する大乗仏教の他の経典(例:『梵網経』、『十地経』)と密接に関連しているため、それらとの比較研究が進められています。
- 『菩薩瓔珞本業経』が中国仏教の文脈で重要視された理由として、大乗仏教の戒律を詳細に説いた経典であり、実践の指針を示したことが挙げられます。
まとめ
『菩薩瓔珞本業経』にはサンスクリット語原典やパーリ語原典が確認されていません。この経典が中国で翻訳されたインド起源の大乗仏教経典である可能性もありますが、原典が失われたか、あるいは中国で創作された可能性も指摘されています。そのため、現存する形では、この経典は中国仏教における重要な大乗経典としての意義を持っています。
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