法介
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2024/12/05 (木) 08:39:52
説一切有部とテーラワーダの違いを詳しく教えてください。
説一切有部(Sarvāstivāda)とテーラワーダ(Theravāda)は、共に仏教の古い伝統から発展した宗派ですが、それぞれ異なる教義、歴史的背景、地理的広がりを持っています。以下に、両者の違いを詳しく説明します。
1. 歴史的背景と地域
説一切有部
- 起源: インド北西部を中心に紀元前2世紀頃に発展。部派仏教(Nikaya Buddhism)の一つ。
- 特徴: 仏教の中でも哲学的な分析を重視する学派で、アビダルマ(Abhidharma, 仏教心理学・哲学の教義書)を発展させました。
- 地域: 主に中央アジアから中国、チベットに伝わり、大乗仏教や密教の形成に影響を与えました。
テーラワーダ
- 起源: 紀元前3世紀頃、スリランカを拠点に成立。上座部仏教(Theravāda)は古代インドの長老派の伝統を継承。
- 特徴: 仏教の最古の形を保持しているとされ、パーリ語の経典を基盤とします。
- 地域: スリランカや東南アジア(タイ、ミャンマー、ラオス、カンボジアなど)で広まりました。
2. 教義の違い
説一切有部
- 「三世実有」説: 過去・現在・未来の法(ダルマ、事象)は全て実体的に存在する(実有)とする教え。
- これにより、過去のカルマや未来の果報が因果律の中で実在することを説明。
- アビダルマ哲学: 精密な教義体系を発展させ、すべての事象を「法」(実在的な要素)として分析。
- 輪廻の解釈: 個人の輪廻における因果関係を詳細に解釈する。
テーラワーダ
- 「無常」「無我」説: 現象はすべて変化し続け、固定的な「我(自己)」は存在しない。
- パーリ三蔵: ブッダの教え(経蔵)、律(戒律)、論(教義解説)に基づく。
- 現実主義: 個々の現象の観察と瞑想(ヴィパッサナー瞑想)を通じて解脱を目指す。
3. 哲学的・実践的アプローチ
説一切有部
- 哲学重視: 仏教を論理的・哲学的に解釈し、知的体系化を図る。
- 輪廻とカルマ: 過去、現在、未来が実在するため、因果律が体系的に説明される。
- 大乗仏教への影響: 説一切有部の教義は、大乗仏教や密教(特に中観派や瑜伽行派)の基盤となりました。
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