法介
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2024/12/03 (火) 07:30:14
『阿含経典』の南伝版であるパーリ仏典「相応部経典」(Saṃyutta Nikāya)の蘊相応(Khandha Saṃyutta)では、「五つの要素(五蘊)」の性質とそれに伴う「四つの変化の相」が説明されています。五蘊と四つの変化の関係を以下に整理します。
五つの要素(五蘊)
- 色(物質的要素、rūpa)
- 身体や外的な物質的存在。
- 受(感覚や感受、vedanā)
- 苦楽や中立的な感覚。
- 想(知覚、saññā)
- 形や名前などの認識。
- 行(意志作用、saṅkhāra)
- 思考、意志、感情、性格を構成する要素。
- 識(意識、viññāṇa)
- 対象を認識する意識そのもの。
四つの変化の相
これら五蘊には、以下の四つの変化の相(anicca-lakkhaṇa)があるとされます:
生起(uppāda)
- 五蘊が発生する現象。例:物質が生まれる、感覚が生じる。
持続(ṭhiti)
- 一時的に持続する状態。例:物質や感覚が一定期間留まる。
変化(vipariṇāma)
- 状態が変化し始める現象。例:物質が老化する、感覚の強さが減少する。
滅(bhaṅga)
- 最終的に消滅する現象。例:物質が崩壊する、感覚や意識がなくなる。
これらは仏教における無常(anicca)の教えを具体的に説明するものであり、五蘊は常に変化し続けるため、それに執着することは苦しみを生む原因とされています。
関連仏典
- Saṃyutta Nikāya 蘊相応は、特に「無常」の観点から五蘊を分析的に考察し、仏教の基本的な無常・苦・無我の教えを説いています。
- これに関する詳しい議論は『般若心経』や『中論』といった後代の大乗仏教の経典でも取り上げられています。
上記の教えは仏教の修行の基礎として重要であり、五蘊とそれに付随する無常性を理解することで執着を手放し、解脱への道を進む助けとなるとされています。
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