仏道の『阿頼耶識システム』

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法介 2024/12/02 (月) 07:25:01

倶舎論では此縁性縁起がどのように説かれてますか?

倶舎論(阿毘達磨倶舎論)は、仏教の部派仏教時代における重要な論書であり、特に説一切有部の教義を整理・体系化しています。此縁性縁起(しえんしょうえんぎ)については、因果関係と条件性の観点から詳しく論じられています。この中で、仏教の基本的な縁起思想がどのように展開されているかを見ていきます。


1. 此縁性縁起の基本概念

「此縁性縁起」とは、「此(これ)ありて彼(かれ)あり、此生じて彼生ず」という仏教の因果律を表します。倶舎論では、これを以下のように説明しています:

  • 条件としての因果:すべての現象は独立して存在するのではなく、他の条件(縁)によって生じます。
  • 縁起の普遍性:この法則は、苦・無常・無我といった仏教の根本教えを支える基盤となります。

倶舎論では、この縁起法則を基に、因(ヘトゥ)と縁(プラティヤヤ)の概念を詳しく分析しています。


2. 因と縁の分析

倶舎論では因果関係を8つの因(八因)と、さまざまな縁(条件)に分類します。

(1)八因

倶舎論における因は、以下のように分類されます:

  1. 能作因(のうさくいん):ある事物を生じさせる直接的な原因。
  2. 倶有因(ぐういん):同時に生じて互いに影響を与える因。
  3. 同類因(どうるいいん):同じ種類の法が次々と生じる原因。
  4. 相応因(そうおういん):心と心所が互いに相応して働く原因。
  5. 遍行因(へんぎょういん):普遍的に作用する因。
  6. 異熟因(いじゅくいん):過去の行為によって後に熟する因。
  7. 士用因(しよういん):善悪の行為を行う主体としての原因。
  8. 離系因(りけいいん):ある現象が生じるための妨げを取り除く因。

(2)四縁

因だけでなく、縁(条件)がそろうことで現象が生起します。この縁起の観点から、四縁が説かれます:

  1. 因縁(いんねん):直接の原因。
  2. 等無間縁(とうむけんえん):一つの心が途切れることなく次の心を起こす条件。
  3. 所縁縁(しょえんえん):対象や心が互いに関係する条件。
  4. 増上縁(ぞうじょうえん):助けとなるすべての条件。

これらの因縁を通じて、倶舎論では縁起の詳細なメカニズムを解明しています。


3. 縁起法の実践的意義

倶舎論は、縁起を単なる哲学的議論として捉えるだけでなく、修行者が無明を克服し、悟りを得るための実践的な指針としても提示しています。このような縁起法則の理解は、特に煩悩や執着を超越するために不可欠です。

4. 倶舎論の特徴的視点

倶舎論の縁起論は、説一切有部の立場から、現象を実在する法として説明していますが、最終的にはこれらの法も因縁によるものであるため、常住ではない(無常)ことを強調します。この点で、原始仏教の縁起説を引き継ぎつつ、精密な分析を加えています。


此縁性縁起の概念は、現象の相互依存性を解明する仏教の基本思想を具体的に示しており、倶舎論における深い教理の中心的なテーマの一つです。

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