謂假必依真事似事共法而立
仮は必ず真事と似事と共法とに依って立つ
如有真火 有似火人
真の火有り、火に似る人有り
有猛赤法乃可假說此人為火
猛赤の法有るをもって、乃ち仮って此の人を説いて人とす可きが如し
假說牛等應知亦然
仮って牛等と説くことも、應(まさ)に知るべし亦然なり
我法若無 依何假說
我法いい若し無くんば、何に依ってか仮って説かむ
依何假說 無假說故
仮って説くべきこと無きが故に、似も亦成ぜずなぬ
似亦不成,如何說心似外境轉彼難非理
如何ぞ、心いい外境に似て転ずと説くという、彼が難ずること理に非ず
離識我法前已破故 依類依實假說火等 俱不成
識に離れたる我法は、前に己(すで)に破してしが故に、類に依り実に依って仮って火等を説くという 俱(とも)に成ぜざるが故に
依類假說理且不成,猛赤等德非類有故
類に依って仮説すという理いい且つ成ぜず、猛と赤との等(ごと)きの徳は、類に有るものには非ざるが故に
若無共德而假說彼,應亦於水等假說火等名。
若し、共徳は無けれども、而も仮って彼を説くといはば、亦水等の於(うえ)にも仮って火等の名を説くべし
若謂猛等雖非類德而不相離故可假說 此亦不然 人類猛等現見亦有互相離故。
若しいわく、猛等は類が徳には非ずと雖も、而も相離せず、故に仮って説く可しといはば、此れも亦然らず、人類と猛等とは、現に見るに、亦互に相離れたることるが故に
類既無德又互相離,然有於人假說火等,故知假說不依類成。
類いい既に徳無く、又互に相離れたり、然るを、人の於(うえ)に仮って火等を説くこと有るべけむや、故に知る、仮説は類に依っては成ぜずということを
依實假說理亦不成 猛赤等德非共有故
実に依って仮説すということ、理いい亦成ぜず、猛赤等の徳は共有に非ざるが故に
謂猛赤等在火在人其體各別,所依異故
いわく、猛赤の等(ごと)きは、火に在ると人に在ると其の体各別なり、所依異るが故に