仏道の『阿頼耶識システム』

二空を習得している仏道者は、自身の先入観や自身の価値観とらわれる事無く、言われるがままに仏に対する信仰心を起こします。

しかし、二空を習得しきれていない仏道者は、

「俺は自力で瞑想がいいんや！」

とか、

「信仰なんてすがるみたいでカッコ悪いやん！」

と言って仏に対する信がなかなか起こりません。

困り果てた仏はこう言います。

おまえは山本リンダでも歌って来い！

と

『十法界事』について説明します。

これは日蓮さんが天台宗側に突っ込みを入れている御書になります。

最初の突っ込みは、

「二乗は実際には見思惑を断じていないじゃないか」

という内容です。

どういう事なのか、解りやすく説明するのに以前こんな話をしたのを覚えてますか。

虫歯が痛くてまさに地獄の苦しみを味わっている時、

瞑想で五蘊を完全停止させたら痛みから離れる事は可能です。

これは煩悩を寂滅させている訳です。

しかし、その状態で日常生活が出来ますか？

出来ませんよね。

我々人間は、五蘊の働き無しでは現実の世界で生活する事は不可能です。

という事は、瞑想でいくら煩悩を寂滅しても

現実の生活においては何も煩悩を退治出来てはいないではないですかと、

日蓮さんは、突っ込んでおられる訳です。

この前、リダンと説一切有部における道諦が如何なるものだったかを話し合いました。

蔵教における道諦って結局、覚りは説かれていないんですよね。

蔵教のそれは無余涅槃な訳ですから。

しかも、実際のところ六道輪廻からも解脱出来ていなかったと日蓮さんは言われている訳です。

この御書で最も重要なのは次の突っ込みである、

「心具の十界を知らないでしょ」

という内容です。

「心具の十界」というのは、人界の凡夫の心に更に十界の心が具足して備わっていると説く「十界互具の法門」の事をいいます。

これは『法華経』に至ってはじめて明かされる法門です。

唯識が説かれた別教では、この「十界互具」は未だ解き明かされておりません。

「心が世界を造り出す」と説く唯識では、心から生じた「心生の十界」なんですね。

だから、法相宗では阿弥陀佛を対境として三昧を行います。

自身の心から阿弥陀佛を造り出す訳です。

心生の仏（阿弥陀佛）です。

要するに概念として造り出された〝仏〟という事です。

概念の範疇ですから、

それは完全な無漏では無いという事です。

それが「有覆無記」の意味です。

唯識では「無覆無記」は解き明かされておりません。

いやいや「無覆無記」は阿頼耶識でしょ、阿頼耶識を説いているのが唯識でしょ。

と思われるかもしれませんが、

唯識では「無覆無記」の存在を示しているだけで

実際の「無覆無記」の内容は『法華経』に至ってはじめて明かされます。

ですから唯識では、

無漏の種子を先天的に持たない者は、

いくら仏道に励んでも仏の覚りを得るには至らないと説かれております。

では、蔵教・通教・別教の三乗の教えでは成仏に至った者は居なかったのかと言いますと、それは違います。

最終的に『法華経』の教えを聴聞して三乗は成仏します。

龍樹も世親も『法華経』を知っていました。

蔵教の舎利弗も阿難も釈迦の直弟子達も皆、最終的に『法華経』を聴聞しております。

文献学的にはそれは証明されません。

なぜなら仏の説法は人間の認識の及ばない世界（天上界）で

なされていたからです。

文献学的（人間の認識）に立証出来るのは、

人間の認識レベルで説かれた蔵教の初期仏典ぐらいでしょう。

『法華経』は釈迦が説いた教えではないなどと主張している人達は

仏教が何たるかも分かっていない人達です。

次に『倶舎論』で阿頼耶識が無為として説かれている事を

加藤氏の書籍から文字を起こして紹介しましょう。