そこそこの大きさのそこそこ平和な町、柳色町では、その閑静な街並みの裏でとあるクスリが出回っていた。
曰く、「超能力者になれる薬」。嘘くさい話であったがそれはまごう事なく本物で、自分の望んだ力がある程度の範囲内で手に入るという。
これを服用した若者達は調子に乗ったのか平然のように犯罪をするようになり、柳色町の治安は悪くなっていく一方だった。
しかし、そんな超能力者達の中にも善人はいた。町の平和を守ろうとする者がいた。
その様な勇気ある男達を、人は「ヒーロー」と呼ぶ。
そこそこの大きさのそこそこ平和な町、柳色町では、その閑静な街並みの裏でとあるクスリが出回っていた。
曰く、「超能力者になれる薬」。嘘くさい話であったがそれはまごう事なく本物で、自分の望んだ力がある程度の範囲内で手に入るという。
これを服用した若者達は調子に乗ったのか平然のように犯罪をするようになり、柳色町の治安は悪くなっていく一方だった。
しかし、そんな超能力者達の中にも善人はいた。町の平和を守ろうとする者がいた。
その様な勇気ある男達を、人は「ヒーロー」と呼ぶ。
はあい支援
アポかど「あの、さ」
アズマオウ「……なんだよ」
夜の公園のボロいベンチに、アズマオウは布団に被さって寝ていた。
彼には帰る家がない。いわゆるホームレスである。
アポかど「あれ、えぇ?お前、さ」
そんなホームレスの前に立つ、長髪で気持ち悪い笑みを浮かべる男。両手に出刃包丁を握るその奇妙な姿は世間一般で言う殺人鬼、そうでなければ一流の料理人といったところか。
アズマオウ「……なんなんだ」
アポかど「お前さ、ベンチに布団敷いて寝てるとかさ、もしかしてホームレスの方?」
アズマオウ「そうだが、何が悪い」
暫定殺人鬼の聞き飽きた煽り文句に半ギレで開き直るホームレス。事実ではあるが改めて言われると心が痛い。
アポかど「え、ホームレス!?まじホームレス!?ハハハハ!何が悪い、何が悪いってさ、そりゃ悪いに決まってるでしょ!く、くくく、だって、働いてないとかあれじゃん!ケンポーのキンローノギムに反してるっつーか!?え?そんな、最低限の義務すら果たしてない無能っつーか!?え!?」
いきなり笑い出す暫定殺人鬼。何も言い返さなくて悲しい。余りの酷い言い様にアズマオウは静かにブチギレる。
アズマオウ「……黙れ」
アポかど「え!?何!?おこ?おこですか!?貴方が働けばいいだけの話ですよね!?えぇ!?」
アズマオウ「黙れ!!!」
アポかど「え!?そ、其処まで怒る必要ないじゃん……」
怒りを抑えきれず弾け飛ぶ怒号。
ここまで大声出されるとは予想してなかったのか、アポかどは驚いて呆然としている。
アポかど「いやー、話変わるけどさあ?お前、マジで不幸だよね。いや、ホームレスなことじゃないよ?だってお前、今から殺されるんだもん」
アズマオウ「……あ?」
アズマオウは身構える。たった今、「暫定殺人鬼」の呼称が「殺人鬼」に変わった。
アポかど「『微睡み響く蛇足の沼 』!」
嬉々とした表情で殺人鬼がそう叫ぶと、公園の地面が隆起し、まるで蛇のような形状を成してアズマオウへ襲いかかる。
アズマオウ「ちっ、『焼殺想起 』!」
そういってアズマオウが手元の紙屑十数枚を丸めて投げると、紙屑は業火と化し蛇と殺人鬼へ放たれた。