「ふふふ~っ、珍しいものいっぱいでしょ?」
目を輝かせ、楽しそうにひとつひとつの商品に注目していく少年の姿に顔を綻ばせる。
「アハハ、大丈夫大丈夫。ヘンなもの売りつけてなけなしの金を毟ろうなんて思ってないからさ。
冒険者同士、同郷同士、助け合わなくちゃ。
そうだねー、その金額だと……これなんかどうかな?」
差し出したのは『押し花の栞』。紫の台紙に白い花が押され、黄色の花びらがアクセントとして添えられている。
「これは一見ただの栞に見えるけど…………うん、本当にただの栞なんだ。
でもこの花は薬の材料にもなってねー。防虫効果もあるしー、ちょっと香りも残ってて集中力が高まるかもよ?
本で魔法の勉強とかするならピッタリなんじゃないかなー?
気に入らなかったらいつでも返品してくれていいよ。
私もしばらくはこの町に……【雪割】って名前の宿にいるからさ。」
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