「あらあら、奇遇ね、私も甘藍出身なの!なんだかキミとは仲良くなれそうね。」
ぺろりとパンを頬張り、少年の言葉にうんうんと耳を傾ける。
パン屋の生まれ、どうりで小麦の香りがするわけだ。
その麺棒らしい面影を残す杖を見せてもらいながら、
「それならホウキよりもキミに似合ってるかも。個性的で、私は好きだな。」
と、好意的に笑うのだった。
「ふふふっ、それじゃあ口の硬いキミだけに、特別に見せてあげよっかな。」
四季色の刻印の入った箱の蓋をゆっくりと開くと、中にはいくつもの品物が丁寧に積み重ねられているのが見えた。
何かの球根や種。古そうな巻物。深い色に染められた布束。鮮やかな色の押し花。怪しい液体の入った小瓶。
呪術的な意味を持っていそうな銀細工や護符といったお守りの類。ハサミ。花を模ったアクセサリ。
「これはねぇ、ぜんぶ菜花の国で仕入れてきた商品なんだ。
今日からこの国で売ってねー、また新しい商品に換えるの。
そしたらまた別の国に持って行って……って、その繰り返し。旅商人ってそうやって生きてくのよ。
そうだ、気になるものがあったら買ってかない?出逢った記念にオマケしとくよ。」
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