しばらく走らせていると西区を分ける区間トンネルが見えた。そのトンネルを入ろうとした時,那智のスマホが鳴った。片手で取って通話ボタンを押した。
那智「もしもし?」
早希「那智無事なの?!よかった!」
那智「俺達は無事だけど自衛隊の奴が犠牲になった。」
早希「エクストラセーバルに遣られて?」
那智「ああ。」
早希「実は電話をかけたのはその自衛隊の事なの。」
那智「??」
トンネルを抜けてパジェロを路肩に寄せて止めた。
早希「あの自衛隊,本当の自衛隊じゃなかったみたいなの。」
那智「え?!どういう事だよ?」
早希「自衛隊に変装していた密売業者達だわよ。怪しまれない為に車両や服装など装備品を全部自衛隊から盗難していたらしいわね。」
那智「じゃあ····本物の自衛隊は···?」
早希「まだこの島には向かっていないって事。だから島で他の変装した密売人に遭遇したら気おつけてね。彼らは那智を札害してでも邪魔者する奴は排除する気だから。」
那智「大丈夫だ。その時はカラカルとサーバルとでなんとかする。」
早希「そう····。あとそう言えばもう観光客は全員避難したみたいだわ。明日朝一にフェリーと飛行機が到着する予定だわ。」
那智「分かった。ありがとうな早希。エクストラセーバルと決着をつけてくる。」
早希「絶対戻ってきてよね?あとあまり無茶はしないで···。」
那智「安心しろ。必ず戻る。」
早希「本当に?」
那智「ああ。絶対だ。」
早希「約束だよ···。」
那智「うん。」
なんだか心の中が懐かしくなった。
那智「じゃあな···。」
電話をきって通話を終了した。那智はハンドルを両手で握って軽くため息を吐いた。そして口を開いた。
那智「なぁ二人とも。·····行くぞ。」
二人「うん!!」
パジェロはハンドルを軽くきって道路に戻った。目の前にはもう西区に入る看板が見えている。