奏多「間違いない! 渉さんのガヤルド! 運転してるのは···?」
ガウウウウウウウン ガウウウウウウウン
奏多「速い! くっそ待ちやがれ!!!」
その差は200mほど だがガヤルドは速い
奏多がここに来て初めてとも言える強敵だった
奏多の走りにも変化が生まれていた
グリップで速く走る走り方でもドリフトで速く走る走り方でもなく
コーナーへの侵入スピードを許容できるギリギリより少しオーバーする程度の突っ込みをし
コーナーでリアを流すというものになっていた
当然グリップでしっかり立ち上がった方が速いのだが今の奏多にはそれが出来なかった
バトルで溝の無くなったタイヤ 渉を見つけた事への興奮や怒り
とてもマトモとは思えない程の挙動を見せるシルビア
ガヤルドの運転手である渉も後ろからの殺気にも似た闘志に気づいたようだった
渉「なんだあの車!?」
奏多の瞳はまっすぐ前のガヤルドを(殺意まみれの目ではあるが)見つめていた
渉「シルビア乗りの馬鹿速いドライバー···まさか!?」
ガヤルドがペースを落とす
シルビアもペースを落とし停車した
ガヤルドのドアが開き渉がシルビアへ駆け寄る
渉「おい!奏多! 奏多なのか···?」
奏多(渉さん···)
言いたいことはたくさんあったしやりたいこともたくさんあった
聞きたいこともあった でも彼を見つけたらやると決めた事が一つあった
ドアを開け渉の前に立つ 全然変わらない
まっすぐ彼を見つめ
バキッ!!
力任せに顔をぶん殴った
相当な威力だったらしく思わず渉がよろけた
渉「奏····多?」
奏多「···なんで···なんで一人でこっちに行くんだよ!自分のなかの事だけ考えろ!?アンタは仲間じゃ無いのかよ!?」
渉「あ···あれはお前達を巻き込みたく···」
奏多「仲間なんだろ!?少しは信頼してくれよ!」
渉「···すまない あの時は自己中心的になっていてつい···」
奏多「···ハァ···とりあえず無事で良かった··· ここに来たのは渉さんを殴りにきたのが目的じゃない 渉さんの手伝いに来たんだ エイデンさん連れて」
渉「えっ?」