おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 224

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村雨の夫 2017/06/05 (月) 21:11:54 修正 >> 223

その夜。
「うふふ。ちょっと面白いでしょ?」
「うん、まぁ面白いけどさ…」
各々が作ったてるてる坊主は、睦月と涼風が二つ、朝霜と時雨義姉さんが三つ、僕と白露がひとつずつ。村雨ちゃんは二つ。合計で14個。店に飾る姉妹十人分で十個。四人家族で四個。そこまではいい。
盲点は、最初に出されたお手本の完成品・村雨ちゃんモデルもあったこと。
僕、睦月、朝霜、村雨ちゃん。もう一つ村雨ちゃん。さらに十個。つまり――村雨ちゃん以外にもう一人、二つ分作ったてるてる坊主がいる。これに気付けていなかった。

「もう一回やる?ほら、つんつーん」
「いっちばーん!」
「あなたが言うと、なんだかおかしいわね」
「……裏声は苦手だよ」
書斎の窓に付けられたてるてる村雨ちゃん。それを吊るした紐には細工がされており、つつけばフックで留めて隠した白露義姉さんモデルが下りてくる。いたずら好きの義姉さんがやりそうなことだ。

「店のレジのはふたりが上下逆になったモデルを飾るんだって」
「村雨ちゃん、現役店員じゃないもんね。隠しヒロインだ」
「……なぁに。私が攻略されてもイイの」
「いいわけないでしょう」
ちょっと言葉選びを間違えてしまったかな。だからって、「キャラ」だなんて軽い言葉にしたくないもの。そういう理屈ばった言葉を言うわけにもいかなくて、適当に軽くチョップ。むっとした顔もかわいい。

「そんな男が現れたら、軍刀だって抜いちゃうぞ★」
「あなたの場合、本当にやりかねないわね」
「ま、離れたくないからね」
「離れませんよ、もう」
あきれて苦笑する彼女を抱きしめると、くすぐったそうな笑い声に変わる。

そして、うずめた顔をあげた彼女から、怪訝な声。
「……あれ?じゃあなに?白露があなたの隠しヒロインなの?」
「勝手に設置しておいてとんだ言いがかりを」
「どーなのよー」
「ないない。僕には君だけだよ」
唯一無二のヒロインは、少しだけ葡萄の香り。早めに寝かせておきましょう。
不慣れな手つきで作った、僕モデルのてるてる坊主が待つ寝室へ。

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