いつの間にか、タタラの両目から、涙が溢れていた。
流れた涙が、ぱらぱらとシロの顔に落ちる。
「違う!私は…ああああ!」
タタラは手を離し、悲痛な叫びを上げた。
顔を覆い、頭を掻きむしり、苦しげにうめく。
シロは、黙ってタタラを見上げている。
やがて、うめき声に交じり、言葉が聞こえてきた。
「こんなこと嫌、できない…でも…」
「私は仲間になれない…駄目なのに、なんで…」
「怖いって…言えよう…」
「姫ぇ…」
タタラは力なく肩を落とし、うなだれた。
「おら、殺されても、おめえを手放す気はねえ」
シロは静かに、力強く言った。
タタラの流す涙が、とめどなくシロの顔を濡らす。
このまま水の底に沈み、溺れてしまいそうな錯覚に陥る。
たとえそうなろうと構わない、とシロは思った。
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