おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 60

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村雨の夫 2016/08/31 (水) 01:22:40 5c457@381f6

いよいよテレビ番組も夏の装いから平時に戻ってきたな、と朝の子供番組を見て思う。
メイン視聴者たる娘たちは、しかし起きてくる気配がない。夏休みボケを吹き飛ばそう!ってテレビの向こうで言ってるのに。
昨日あれだけはしゃいだんだ。無理もないか。かくいう僕らもちと眠い…。

お姉さん方との再会とあって、開幕前から高めのテンションはスイカ割でさらに上昇。
野分さんの一刀両断…とはいかないまでも、見事な一発で拍手喝采ときたものだ。僕の手品にもそのくらいのリアクションがほしい。
舞風さんとの以心伝心は日頃の鍛錬のなせる業なんだろうな。
鎮守府も見学させてもらったけど、大戦期、というか「僕の鎮守府」とはずいぶん違う風景だった。
技術の進歩、訓練方法の進歩、時代と戦況の変化、あとは指揮官の腕の差だろうか。
野分さんが尾ひれつけて話しでもしたか、ずいぶん立派な印象を持たれてるらしいけれど、本来僕は喝入れる立場じゃないんだよなー。入れなきゃいけないほど低レベルじゃないしなー。ていうかどの部門のだれもが十分以上に高練度。

とりあえず現役時代の話を軽くしておいたけど、さてどのくらい重みがあるものか。
僕ののんきな話より、借り物の予備主砲で砲撃演習に混ざった村雨ちゃんの方がよっぽど衝撃を与えたんだろなぁ。ただの的あて演習で、現役さんを押しのけてトップとはいかないまでも、よくもまぁあんな成績叩き出せるもんだ。我が嫁ながら、母は強し、か。

衝動買いとかするの、控えよう。

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  • 61
    村雨の夫 2016/08/31 (水) 01:23:33 5c457@381f6 >> 60

    一回り二回りと見学して、先に案内された砂浜も行ってみようということに。
    ……静かだった。子供たちがいないという意味でもあり、平和という意味でこそある。
    僕らが護った海。彼女らが護る海。潮風を受けながら、輝きを眺めつつ、手をつないで歩む。
    「綺麗だねぇ」
    「ほんとね」
    「君のほうがきれいだけどね」
    「……ふふ、なにそれ。かっこつけちゃって」
    「鎮守府に来たからかな。子供の頃みたいにかっこつけたくもなる」
    「昔そんなこと言われた覚えないんですけどー?」
    「あれ、そうだっけ」
    「そうでーす。ほんと、子供どころか坊やだったんだから。いろんな意味で」
    「否定できないなぁ」
    「でも、今は違うでしょ?」
    もちろん、と応えるのを待たずに、手をほどいて走り出す。追いかけっことは、そちらこそずいぶんお子様ですこと。

    太陽と時計の針は天辺より少し下方へ。
    ラジオ体操で鈍りがほぐされてたからって、また走り出されたらかなわない。そう思って捕まえたときのまま腕を組んで合流したら、娘たちにはニヤつかれ、舞風さんは顔を赤らめる。そんな中、野分さんはひとりだけ妙に落ち着いてる。聞けば執事さんと舞風さんはダンスのペアを組んでるそうで、そのへんで見慣れてるのかな。
    ……それならなんで舞風さんは赤面したんだろ。誰かと自分を重ねて見た、のかも。

    僕らが日差しの中にいたころ、少女たちは秘密の中にいたという。
    お屋敷なんて初めてだからって、探検中に下手なことしてなかったらいいんだけど、そんな期待を裏切るように自慢げに戦利品を見せてくる。ずいぶん品のよさそうなお菓子に、小物の類。睦月は小さなペンダントを首にかけ、朝霜は不釣り合いな刀を佩いてる。記憶の時計を巻き戻して、そのどちらもが僕らがそうそうお目にかかれなかった褒章と気付き、すぐに夫婦で顔面蒼白。
    すぐに謝って返そうとするも、今日の間は貸してくれるのだという。笑顔でさらりと言うあたり、提督も艦娘も、(主も従者も?)懐の大きなひとたちよ。……厚すぎるご厚意には甘えるけれど、どうか傷つけないでほしいと冷や冷やしてしまう。とりあえず、流しそうめんする間は動き回るんだしと説得して僕らが預かることにしておいた。

    さてさて、お楽しみの流しそうめん本番。朝霜、睦月はそういえば初めてだったな。
    舞風さんにコツを教わりながらなのか、楽しくやってるようでほほえましい。野分さん、執事さん、奥様は僕らと同様一歩引いて見守っている。
    ふむ。さっきといい、以前のうちへのお泊りといい、野分さんはどうにも大人しいというか、大人らしい。過剰に厳しくされてるわけでもなさそうだし、もとよりの性分なんだろうか。何にせよ、ちょっと気になるなー。よそ様の娘様、その性分にまで気をやりすぎても大きなお世話かもしれんが、まだまだ無邪気になっていい年頃だろうに。もしも「お姉さん」が鎖になっているのなら、何か手助けしてあげたいなぁ。
    「あなた?あーん♡」
    「あーん。はい、村雨ちゃんも」
    こんなことやってる大人に何か言われても、信用ないかなぁ?
    同じ麺のはずなのに妙においしいのは、愛か、恋か、恋愛の色故か。

    おや、舞風さんが何かなるほどって顔でこちらを見ている。……執事さん、ごめん。なんか入れ知恵しちゃったみたい。

  • 62
    村雨の夫 2016/08/31 (水) 01:24:10 5c457@381f6 >> 60

    お楽しみの後は宿題の仕上げ。
    保護者が普段の倍ともあれば、集中力も倍。それとも、完全勝利への最後の一手だからかな。お姉ちゃんたちが丁寧に教えてくれて、ふたりも捗ったみたい。
    その様子を見つつ、大人たちは紅茶を味わいながらとりとめのない話をした。海の今昔。子供の教育論。趣味の交流。僭越ながら、少しばかりの息抜きになってくれたならうれしい。提督って大変だもんなぁ。

    夕飯にはいくつか案を練っていってたらしい。いつの間に奥様と連絡とってたんだ、と今更疑問には思わない。村雨ちゃんだし、奥様も周到な方みたいだし。
    だから、僕らは現場でお手伝いをするだけ。…そのお手伝いだけでも、手際の差を感じる。うーんできる男ってこんな感じなのか。頑張らないとなー。

    ずらり並んだビュッフェは、多国籍多ジャンル、あれこれのやまもり。見た感じみんなの好物って感じかな。互いにちょっとずつ、相手を知ることができるからビュッフェっていいんだよね。睦月はあっちこっちといろいろ取るタイプ。朝霜も似たような感じだけど、お嬢様側の珍しい食材を重点的に攻める。僕と似てるタイプ。舞風さんは予想以上によく食べる。そのアクティブな印象からはちょっと連想しにくいけれど、端々に丁寧な所作がみられて、レディって感じ。みんなに、大人も子供も共通するのは、食べてる笑顔が素敵ってこと。
    …しかし妙なことに、メイン級は7品種。一人分足りない。奥様か執事さんが遠慮なされたのかな、と思ってたけど、スイーツを山盛りにする野分さんを見て納得した。妙に多いと思ったけど、そういうことね。年相応なところがあってほっこり。

    おなかもいっぱい、思い出もいっぱいで、大満足の夏の終わり。
    寝ぼけかけの娘たちを村雨ちゃんにお風呂に入れてもらう。その間に、僕の携帯にメッセージが届いて曰く、宿題の忘れ物とのこと。
    うわー、やっちゃった……と思いつつ、詳細な道案内を返信してそれからしばらく。うつらうつらの朝霜と睦月が髪を乾かしたぐらいのタイミングで三人の風が到着。二人がぼんやり顔でのお礼をしながら受け取って、幕引きと相成りました。

    エピローグの疾風デリバリーがなかったとしても、どうにもこうにもドタバタだったなぁ。
    お誘いもいただいたわけだし、次は泊りのイベントにしたい。お酒も入れたいし、大人の話もしたいしね。となると、お月見かな?
    それでなくとも、雑貨屋や舞台演劇へ招待するのもいいかもね。こっちが鎮守府講演しに行ってもいいかもなー。講堂の設備、かなり立派だったしなぁ。
    ふーむ、楽しみは尽きない!