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発達障がいの小6が英検2級合格、周囲の支えで実力伸ばす、家では「寝言まで英語」

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発達障がい「アスペルガー症候群」のある兵庫県丹波市立進修小学校6年の秋山拓翔さん(同市春日町棚原)が、高校卒業レベルとされる実用英語技能検定(英検)2級に合格した。週1回通う英会話教室「ECCジュニア・BS野上野教室」(同町野上野)の講師、平野千晴さんによると、「教室を18年間やっているが、小学生の高学年で2級に受かった子は一人もいない」という。家族や平野さんら周囲のサポートもあり、めきめきと実力を伸ばしている。拓翔さんは吉報に、「イェイ」と喜んだ。リーディング、ライティング、リスニングによる1次試験(1950点満点)は合格基準とされる1520点を超える1567点。得意のリスニングは650点中587点だった。面接形式のスピーキングによる2次試験(650点満点)は523点で、基準の460点をクリアした。3歳の頃、乳児検診でアスペルガー症候群と判明。社会的コミュニケーションの障がいや、興味、活動に対する偏りがあるとされる。アルファベットや数字に興味を示していたことから、父の邦幸さん(55)が「生きていく上で、何か一つでも特技を持たせてやりたい」と、4歳の頃から同教室に通わせた。当初、他の子どもと受けているときは注意が散漫になって授業が成り立たず、平野さんの発案で時間をずらし、マンツーマンで授業を行うようになった。気分の浮き沈みが激しいため、平野さんは、「嫌」と言うときには無理に授業をせず、カードゲームに切り替えた。時間を計る際、タイマーの大きな音でパニックにならないように砂時計を使用するなどし、柔軟に向き合った。「日常で何かやりたくないことがあれば『嫌』と言うが、ECCに行くのだけは『嫌』と言ったことがない」と邦幸さん。平野さんは「ゲームで負けたときなどにパニックになることが少なくなり、余裕が生まれてきた。間違いや負けから学べるということが分かってきているのでは」と推察する。自宅では「寝言まで英語」(邦幸さん)。ゲームをしたり、大好きな天気をチェックしたりする際に使うタブレットの言語は英語に設定するなど、英語漬けの生活を送る。京都へ修学旅行に行った際には、外国人観光客に話しかけ、一緒に記念撮影をするほど仲良くなった。実力を見込んだ平野さんが英検2級の受験を提案。縁あって、会場の福知山公立大学(京都府福知山市)で、1人で試験を受けられることになった。受験を前に、過去問を解き、タイマーの音にも慣れるようにして対策を練って合格をたぐり寄せた。秋山さんは「将来の夢はまだ決まっていない。たくさんあるけれど選びきれない。アメリカには行ってみたい。自由の女神を見たい」とはにかんだ。邦幸さんは「今の状態を望んで生まれてきたわけではない。もし変えられるのなら、勉強ができなくても良い。ただ、友だちとコミュニケーションを取れる『普通』にしてやりたい」と明かしつつ、「今までできなかったことができるようになってきている。他の人にはできないようなことが、一つでも、二つでもできるようになっていってほしい」と息子の成長を願っている。

(2023.8.22 丹波新聞)

オフィスタ
作成: 2023/08/22 (火) 13:01:47
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