ナビゲーション実験の分析に時間がかかっているのは、ひとえに私の都合によるもので、単純に分析が難しいからということではありません。これだけに専念できるならば、幾分早く分析は完了するかと思います。しかしながら、他の分析、たとえば量的データを採取して推測統計を使用するような分析に比べると格段に時間がかかるのは事実です。個人を分析すること自体が妥当だという合意が取れておらず、大半の心理学者は平均値と分散で語りたがります。裁判官も、個別の分析は自分たちの専任事項だと考えている。こういう構造的問題が、個別性の分析へのニーズが起きにくい原因ではないかと思っています。あなたが言われる「環境づくり」として時間的余裕はもちろん入りますが、このような学会の問題と裁判所の問題によって「環境」ができづらくなっている。せめて学会の問題はなんとかすべきと思いますが、個別性へのアプローチはたいてい「解釈」とみなされることが多いのです。臨床のケースレポートみたいな。「あなたの感想ですよね」みたいな反応が多いのです。これにどう抵抗するかが、スキーマアプローチの発想だったのです。
平準化という観点でも、取調べ回数を少なくという提言は支持されますね。検察の期待効果は否定できないと思いますが、期待効果があると直接体験語りに近くなってしまうというのであれば、我々が開発した方法は全く使えなくなりますね。体験の有無だけが語り口に反映されるという前提ですから。
8点差し上げます。
通報 ...