F22046
e66aca983b
2025/01/14 (火) 17:32:37
記憶研究の成果をそのまま供述鑑定に応用することはできない。記憶研究は、記銘・保持・検索という情報処理の条件を厳密に制御する一方で、供述鑑定では検索結果のみから記銘の中身を推測しなければならないという構造的な限界がある。さらに、記憶研究が確率的法則を基盤とするのに対し、供述鑑定は個別性を重視するため、一般的な記憶の法則は直接的な証拠にはなり得ない。
一方で、スキーマアプローチは供述の個別性を評価する上で有効である。供述者特有の「文体」や「反復的なパターン」をスキーマとして捉えることにより、供述が単なる記憶の再現ではなく、供述場面での相互作用の産物であることを明確にする。この視点は、尋問者と供述者の力動的関係を浮き彫りにし、供述の信頼性を精緻に評価する方法として有用である。
また、供述者が「応答責任」を負うという考え方は、供述の正確性や一貫性を評価するために重要である。しかし、尋問者もまた供述者のスキーマやコミュニケーション特性を理解し、それに基づいて適切な質問を行う責任を負う。両者の責任が適切に果たされることで、公平かつ信頼性のある供述評価が可能となる。
記憶研究と供述鑑定の間には埋め難いギャップがあるが、スキーマアプローチのような手法を取り入れることで、その限界を補うことができる。心理学の知見は供述鑑定において慎重かつ限定的に応用されるべきであり、供述評価の新たな方法論として発展させる余地がある。
通報 ...
ほぼ正確な授業内容の理解だと思いました。難しい話をよく消化してくれたと思います。その上でと、さらなる議論を望むのはやめますが、授業で習ったことをそのまま受け取るのではなく、批判的に(建設的に)受け取ってくださいね。まあ、今回の話についてはそこまで要求できない。
「尋問者もまた供述者のスキーマやコミュニケーション特性を理解し、それに基づいて適切な質問を行う責任」まで負わせるのは無理だと思います。理想ではありますが。それより、事後的な供述分析を証拠として裁判所に認めてもらいたいものです。
12点差し上げます。