当時はまだ司法面接がありませんので、「意図せざる誘導」と呼びましたが、現在ではCQや反復質問にはそのような機能があると知られているので、もはや「意図せざる」などと言わなくてもよくなりました。これらの発問方法の問題については、これまでの授業で述べたとおりです。なお司法面接は制度化されているわけではないので、使用できます。特に法廷では。
今思えば、甲山弁護団は正岡くんのコミュニケーションがどのようにおかしいかを把握していて、差し戻し一審の法廷でそれを実証し、その裏付けのためにコミュニケーション分析を我々にオーダーしてきたような気がします。こういう有能な弁護団と、心理学の枠をはみ出して研究していた我々の出会いがラッキーだったということでしょうか。司法面接がない時代に、どうして我々が「意図せざる誘導」とか、CQや反復質問に誘導性があると言えたのか(そういう点を弁護団の反対尋問に指摘できたのか)というと、教室の談話研究という領域的には教育学と社会学の境界に位置する研究を知っていたからです。心理学だけ勉強して、「ココロがぁ」とか「ムイシキがぁ」とか言っているだけではわからないです。現実の理解という点において、心理学には欠けているところがいっぱいあります。現場に踏み込んで、現象をよく見ましょう。
6点差し上げます。
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