F22063
2024/12/13 (金) 12:56:39
ae643@18c06
今回、私が注目したのは意図せざる誘導である。甲山事件では園児の証言が山田さんの冤罪に繋がったが、その証言には意図せざる誘導が存在していたからだ。この誘導は検察官が山田さんを犯人だという考えが露出しているを意識できていなかったことで生じたものである。今後裁判の場において、そのような誘導が生じていることを指摘できることは、裁判の場に立つ心理学者にとっては大きな一歩であると感じた。しかし、今回の事件では、弁護団側が意図的に正岡くんのIRE連鎖を引き出せた事で、意図せざる誘導が発生していた事を証明できた。講義内でも言っていたように、現在ではこのような手法は使えない。さらに、足利事件のように裁判官は心理学者の語る事を簡単には受理してくれないので、発見した個別性から誘導を発見することは難しくなるだろう。
また、個別性を発見するためには、心理学者だけではなく、法廷の場で本人に尋問を行える弁護士との連携が不可欠であり、お互いの領分や何をしてほしいのかをわかっておかなければ上手くいかないのだろうと思った。弁護士と連携するために、心理学者は被告人などの個別性をよく理解し、その個別性を引き出せるような尋問を頼む必要がある。
通報 ...
当時はまだ司法面接がありませんので、「意図せざる誘導」と呼びましたが、現在ではCQや反復質問にはそのような機能があると知られているので、もはや「意図せざる」などと言わなくてもよくなりました。これらの発問方法の問題については、これまでの授業で述べたとおりです。なお司法面接は制度化されているわけではないので、使用できます。特に法廷では。
今思えば、甲山弁護団は正岡くんのコミュニケーションがどのようにおかしいかを把握していて、差し戻し一審の法廷でそれを実証し、その裏付けのためにコミュニケーション分析を我々にオーダーしてきたような気がします。こういう有能な弁護団と、心理学の枠をはみ出して研究していた我々の出会いがラッキーだったということでしょうか。司法面接がない時代に、どうして我々が「意図せざる誘導」とか、CQや反復質問に誘導性があると言えたのか(そういう点を弁護団の反対尋問に指摘できたのか)というと、教室の談話研究という領域的には教育学と社会学の境界に位置する研究を知っていたからです。心理学だけ勉強して、「ココロがぁ」とか「ムイシキがぁ」とか言っているだけではわからないです。現実の理解という点において、心理学には欠けているところがいっぱいあります。現場に踏み込んで、現象をよく見ましょう。
6点差し上げます。