約一年前に執筆した作品の昔の話。
側近 Hoaka_polaris
Hoaka
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「今までごめんね。」
「もう笑ったりしないからごめん。」
「私がどんなに許しを乞いても許しを得られる人間ではないことは重々理解しております、しかしもう笑うことは致しませんのでせめて生きることくらいはどうかお許し願います。」
僕はますます理解ができなかった。
何も悪くない人間が謝っているんだ。
そして何故、笑うことにも罪を感じているのだろうか。
「先生!僕は変な名前で呼ばれたことはないですし、みんなは悪い事していません!」
僕は皆の言っていることが理解できなかったから苦し紛れに言葉を吐いた。
「おい、けろ。無理しなくてもいいんだぞ。みんなにげろたんと呼ばれて相当辛かったろう。涙まで流して…… ほら、俺のハンカチ貸してやるから早く涙拭けよ。」
僕は今まで嫌なことを言われたことがなかった。
だけど、今、初めて嫌なことを言われた気がした。
今まで出会った人は、どの人も優しかった。
その先生は僕のあだ名を勝手に変な名前だと思っていたんだ。
僕をげろたんと呼ぶとき、みんなは笑顔になるんだ。
僕はみんなの笑顔を見るのが好きだった。
僕はもう言葉が出なかった。
僕は何も言えずにそこに立っていた。
「よし、お前は落ち着くまで別の部屋で待ってろ。」
先生は僕の手を引っ張って、空いていた教室に僕を一人にした。
それから数秒後、ドアの向こうから怒鳴り声が聞こえた。
クラスメイトは何も悪い事をしていないのに怒られた。
僕は生まれて初めて人を嫌いになった。
次の日、学校に行くとそこには誰一人笑っていない教室があった。
誰も僕に話しかけない。
僕も誰にも話しかけられなかった。
(そうか、みんな僕がいたせいで怒られたんだ。僕がいなければみんな怒られずに済んだんだ……)
僕はその日、結局何一つ言葉を発しなかった。
それからもう笑わなくなった。
みんなが謝っていたし、誰も笑っていない中で自分だけが笑うことなんて僕にはできやしなかった。
それからずっと話すことも笑うこともなく小学校を卒業した。