約一年前に執筆した作品の昔の話。
側近 Hoaka_polaris
Hoaka
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そのまま僕は近くの中学校に入学した。
中学には他の小学校から入ってきた人がいっぱいいたけど誰一人話しかけてこなかった。
僕も話しかけようとすらしなかった。
でも一度だけ話しかけようとしたことがあった。
「やめてよ〜!僕のジュカイン返して!」
「なんだお前ポケモンバトルで負けたら好きなポケモン貰っていいって約束したじゃねぇかよ!」バンッ
「痛い!やめて!ジュカインだけは駄目!それに攻撃が全く効かないミカルゲ使うとかズルい!」
「うるせぇな!お前が負けたって事実には変わりねぇだろ!」ドンッ!
「痛いよ〜」
(ジュカイン…… ポケモン……)
懐かしい響きだった。
ジュカイン、昔のアニメにそんなのいたっけな。
僕は彼を助けようとしたけど結局何も言い出せなかった。
結局、中学校生活もほとんど話すことも笑うこともなく卒業した。
それから勉強を頑張ってなんとか高校に入学した。
高校でも誰とも話すつもりはなかった。
話し方も忘れていた。
でも二年生の或る秋の日だった。
「…えっと、けろくんだっけ、教科書忘れちゃったんだけど貸してくれる?」
その子は一年生のとき同じクラスで二年生で別のクラスになった子だ。
何年かぶりに人に話しかけれらた。
その時僕は我に返った、帰るべき我があることに驚いた。
「あ、いきなり話しかけちゃってごめん!」
「あ、いや、違う、えっと……だ、だ大丈夫だよ」
「ありがとう!一年の頃は全然話さなかったけど、けろくんって優しいんだね!」
「え、あ…おーん、う、うん……」
「じゃあ授業終わったら返しに来るからね!」
「あ、え…お、おん…う、うん……!」
こんなに会話をしたのは何年ぶりだろうか。
初めて人として認められた気がした。
気がつけば僕の目は涙で濡れていた。
僕は生まれて初めて人を好きになった。
「あ!けろくん!教科書返しに来たよ!」
「え、う、うん…あ、あああありがとう…」
「あれ?どうしたの?そういえば前から思ってたけどけろくんっていつも笑ってないよね?たまには笑ってよ!」
「わ、笑う……?」