真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 47

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ちゃむがめ 2021/07/01 (木) 20:58:36 修正 >> 46

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「ザザッ…ザザザ…あっ、繋がった」

突如通常のテレビ放送から切り替わる、電波ジャックの影響によりノイズが走る画面の中に確認できるのは薄暗い打ちっ放しのコンクリートと思われる一間、カメラの前には赤いフードを被った紫髪の特徴的なボブヘアーの女性が木製の椅子に腰掛けていること。

「ザザッ…皆さん、初めまして、私はアザミ教会教祖、茗夢遊戯(ノリユメ アソビ)と申します。」

茗夢と名乗った女は淡々と続ける。

「皆さんは断片(フラグメント)という存在をご存知でしょうか?」
「世間では…手品(トリック)やお伽噺(とぎばなし)出鱈目(デタラメ)、或いは科学ではまだ解明されていないブラックボックスとして…まことしやかに囁かれているその存在、国は以前(おおやけ)断片(フラグメント)の存在を真っ向から否定しました…」

次の瞬間茗夢は血相を変え開き切った狂気の(まなこ)をカメラに映す。

「今から私がその脆弱な主張を、この身を以て覆しそして証明してみせましょうじゃありませんか、"断片(フラグメント)"の存在を!」

そう言うと彼女は(ふところ)からナイフを取り出しその刹那、自身の手で己の首を掻っ捌いた。
返り血がカメラのレンズに付着し茗夢はそのまま糸の切れた操り人形(マリオネット)の様にその場に崩れ落ちた。

この「突然気の狂った女が己の手で首を掻き切る狂気のショー」が電波ジャックによって何十万世帯の家庭のもとへ届けられ、画面の前の彼らが阿鼻叫喚の相を成しているのは想像に難くないことだろう。

しかし、この"狂気のショー"は画面の前の誰もが予想しなかった奇妙な展開を迎える事となる。

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