真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 169

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相原ガガ美 2022/03/19 (土) 19:16:57 修正

「…今のは、中々効いたぞ…泥棒猫…。やるじゃな…フゴッ!?」

相手は拳銃を持ってる、撃たせる隙は作らせる訳にはいかない。
今は何時か監獄の中だから把握できないけど私の断片(フラグメント)の身体強化も少しは使える。
このまま一気に畳み掛け…

「このまま止めをさせる、そう思ったか?」ボシューー

「…ガス!?(右腕の拳銃は囮で左の袖口に噴出口隠していた…︎)…あれ?体の力が抜けて……」ドサァ

「やれやれ…やはり今の僕の体は肉体戦闘には余程向いていない。こんな小娘一人相手でも骨が折れる始末だ…。」
対断片者抑制(MFT)ガス、収容されている間に君が飽きる程吸引していた気体の名だよ。血と汗の滲むような研究の末に僕が開発した傑作だ。」

至近距離で吸引したせいか、収容されていた時より増してその効き目は凄まじく、睡魔に襲われる様に私の意識が溶解していく。

「戯れは終わりにしよう、泥棒猫。いや、夜宵エマ、そう呼ぶべきか。」グイッ

眼鏡の男は力の抜けた私の体を壁に押し付ける様に持ち上げ、右手で首を締める。
私があの時大水木という名前の局員の首を締め上げた時と同じ様に。

「最期に君のような小悪党を成敗した偉大なる正義の科学者の名を教えてあげよう、眼鏡兄貴(みかがみたかよし)だ。地獄への旅路まで覚えておくといい。」グギィ

眼鏡(みかがみ)と名乗った男の五指は的確に私の首の大動脈を抑え、薄れていく意識の中で脳に届く血流が途絶えていくのが分かった。
くだらない半生の中で過ごした日々の記憶が脳内で駆け巡る。


ごめんね、茗夢。私、やっぱりちっとも幸せに生きられなかった。

「──壊せ、(シーオン・ワーリー)

不意に発せられた何者かの声に眼鏡兄貴が振り返る。
先程まで何の変哲もなかった牢獄の壁はブロック状の巨人の腕の様に形成され、眼鏡兄貴が反応する暇を与える間も無く彼の体を彼方へと突き飛ばした。


「正義が弱者の味方なのは相場で決まってるだろ☏眼镜兄贵⌣̈⃝」ニィッ

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