真昼の迫真ランド

【SS】Requiem:channel / 110

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ちゃむがめ 2021/09/25 (土) 00:11:21 修正

「…やめろよ!!…大水木には手を出すんじゃねぇ!殺すなら…おれから殺せよ…」

「へー、わかった。それじゃあ君を殺すのは最後にしてあげる。そこの女の子の断末魔をじっくり聞かせて、あのヒーロー気取りの男も、その辺にいる仲間達も、サクッとみんなみーんなあの世に送り届けた後に殺してあげる。」
「そうすればあの世で1人じゃなくなって、寂しい思いをしなくて済んではっぴぃえんど、チャンチャン♪どう?素敵だと思わない?」

「…ふざけんな、馬鹿げてる…さっきまで逃げ腰だった癖に何だよ…傷付けるのは自分の体だけにしとけよ!!」

「…どうやら、早くこの女の子を殺してほしいみたいだね、それじゃお望み通りにしてあげる。」

泥棒猫は怯える大水木に詰め寄ると首の根を締め上げて、見せ物にする様に大水木の足が宙ぶらりんになる高さまで持ち上げる。

「…かはっ!うぅ…ぁ……助け……て……。」

「いいね〜その救いを求める哀れな表情…その声にもならない絞り出したみたいな悲鳴…ゾクゾクする…もっと見せてよ…。」


おれは勘違いしていた、全力を出さなくても大切な人を守れるくらいには自分は強いと思っていた。
でもそうじゃなかったんだ、あの時もそうだ、おれが断片(フラグメント)を使っていれば大水木を危険な目に遭わせなくて済んだのかもしれない。
ただ、"回収"されて誰にも会えなくなって独りになるのが怖かった、それだけだったんだ。
でも今は後先を考えてる場合じゃない、目の前で北部街(ノースシティ)からの腐れ縁の幼馴染の命が今にも無責任に奪われようとしている。

もうここで終わってもいい、だからもうおれは、お前の全てを受け入れる。


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──────「蹣躯屍骸(はんくかばね)。」



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待ち兼ねたと言わんばかりの勢いで右腕の皮膚を切り裂き現れた骨の刃が大水木を掴み上げていた泥棒猫の腕を斬り付けた。

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