民主ザワッター

あんみつの理性 / 248

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あんみつ 2024/08/17 (土) 13:14:14

シータは寒さに震えながら、両手に白い息を吹きかける。新潟支社に左遷されて久しいが、南国育ちのシータは、未だこの寒さに慣れない。
焦燥した顔で夜空を見上げると、大きな満月が浮かんでいる。
「シャンてぇあ...」
それは宿敵の名前。思えば、彼が消息を絶ってから、シータの視界は日に日に彩りを失っていった。彼との戦いこそが、シータにとって唯一の楽しみだったのである。
あれから心の穴を紛らわすように暴飲暴食を重ねたため、体重は130kgを超えた。それが業務にまで支障を来たし、僻地まで追いやられたのである。
頬を伝う涙の感触が、シータを現実に引き戻したその場で崩れ落ちるようにして膝をつき、口を塞いで嗚咽を抑えた。
「シャンてぇあ...」
その呼び声に答えるものは、風に揺れる草木の音のみであった。

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