続き貼ります
俺は謎の汗が止まらなかった。何をしでかしたのか検討もつかず、「まさか、電車で見てたのがバレたのか‥。」と怖くなってきた。
会社から出てしばらくすると、伊澄が後ろから声をかけてきた。
「新條さん。お疲れ様です。」
朝に見たままの姿の伊澄がそこにいた。
やはり伊澄の顔は不機嫌そうだった。
「話って、何‥?」
俺が訊ねると伊澄は答えた。
「新條さん。私の身体ジロジロ見てましたよね?」
「えっ‥。」
俺は青ざめた。やはりバレていたようだった。
「電車でなんか視線感じるなって思ったんですよ。それで降りる時に新條さん見かけて、視線の向きがそこだった。」
俺は口を閉じてしまった。
「新條さん勃ってましたよね?」
伊澄はそう言いながら俺の股間を指す。
「私なんか興奮させることしました?こんなこと言いたくないけど、気持ち悪いんですけど。」
今までの伊澄とは違い、かなり冷徹な声だった。
俺は赤面したままだった。
「新條さん真面目だと思ってたから気付かなかったです。他の人達とは違うと思ってたのに。」
俺は顔を上げられなかった。
「答えてくださいよ。私の何に興奮したんですか?何見てたんですか?」
伊澄に詰め寄られ、俺は「それは‥いや‥。」と言葉を濁してしまう。
この時気付いたが俺はMだったらしい。黒革手袋をはめたまま怒る後輩の女の子に欲情してしまった。その拍子に勃起した。
伊澄は鞄で隠そうとする俺に気付き、鞄を払い除けた。
「え。」
伊澄は困惑していた。これが普通の反応だ。
「ご、ごめん‥なさい‥」俺は恥ずかしさと取り返しの付かないことをしてしまった罪悪感で泣きそうになった。
「もしかして、怒られるのが好き?Mなんですか?」
何に欲情したのかはまだバレていなかったが、彼女の表情は嫌悪感で満ちていた。
「‥‥ごめん‥なさい‥‥」俺は収まらない勃起を何とか抑えようとしていた。
「朝は?何考えてたんですか?正直に言ってください。」
彼女は呆れながら俺に訊ねた。
俺は自分のフェチについて思わず話してしまった。
「じゃあ私ずっと興奮させてたってことですか?」
俺は頷いた。
「この格好が好きなんですね。正直、引いてます。普通に仕事行くだけなのに変な目で見られているって分かったから。気持ち悪いです。」
俺は何も言えなかった。