革手袋の館

リレー小説

3 コメント
views
0 フォロー

提示された内容に、皆さんで続いて頂く、リレー形式のトピックです。

革姫
作成: 2023/09/27 (水) 23:36:19
通報 ...
1
革姫 2023/09/27 (水) 23:37:16

その黒いスーツの女が、ゆっくりと振り向いた。だがその顔には、妖しい雰囲気を漂わせる女の能面がピタッと貼り付いており、彼女の素顔や表情は一切伺う事は出来ない。
やがて女がゆっくりと、椅子毎こちらを向いた。脚には黒革のロングブーツ、そして両手には黒革手袋。薄手なのかその革手袋は、女の手や細い指にピッタリと密着しており、更にその裾は、白いシャツの袖口の中に、しっかりと仕舞われており、その左手首には、黒革のベルトの腕時計が、静かに時を刻んでいる。
一見すると無表情にも見える能面越しに、女は無言でこちらを見詰めている、とは思うが。次の瞬間、俺と目が合ったのか、目を伏せて恥ずかしそうに女は固まってしまった。だがしばらくして、女はゆっくりと能面の顔を上げ。
「ようこそ、お越し下さいました」
決して低く無い、若い感じの落ち着きのある、たっぷりとくぐもった声で、女は唐突にあいさつした。更に。
「私は訳あって、素性を明かす事は出来ません。私の事は、この能面の名前である、『万媚(まんび)』とお呼び下さいませ」
最後の『せ』だけわずかに抑揚を上げて、女は『万媚』と名乗った。以降彼女は、『万媚』と呼称する事にする。『万媚』は更に続けて。
「万媚とは、『万(よろず)の媚びを振りまく女の能面』という意味があると聞き及んでおります。私にはその様な度胸はありませんが、この能面の力を借りて、大胆に振る舞えればと思っております」
少し低いがよく通る、落ち着いた感じのくぐもった女の声。もしかしたら『万媚』は、多少声を作っているのかもしれない。一体本当はどんな女なのだろうと思いを巡らせていると。

2

挿絵代わりの画像などもあればイメージがしやすそうですね

3

画像1
了解です、
改めて、よろしくお願いします。