おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 226

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村雨の夫 2017/06/21 (水) 07:11:42

「宝石」「光崎」の合同イベントまで、いよいよ近くなってきた。
すでに旅行の宣伝は打たれていて、人々を憂鬱な梅雨雲の先、輝かしい夏へと導いている。どうやら飛龍さんの交渉はうまくいったらしく、燦然たるポスターではグラーフさんが中心を飾っている。ポスターに移っていない部分、この手の先には奥様がいたとか、いないとか…。
青葉は青葉で、企画を兼ねた旅行先から写真とレポートをバシバシ送ってくる。元鎮守府のSNSトークルームでは普段からよく発話する方だけれど、ここ数週間は些か多すぎる……元気なのはいいことなんだけど、ね?

――憂鬱な、と世間一般に阿って表現はしたものの、6月20日は村雨ちゃんにとって、僕たちにとって大切な日。ぱっと華やぐ誕生日。
食卓には不格好な野菜が踊るシチュー。朝霜、睦月に任せるのは僕以上に村雨ちゃんが心配していたけれど、なんだかんだで怪我も焦がしもなく、無事出来上がり。僕を過保護と言って笑う彼女も、今日ばかりはなだめられる側。二人の隣でハンバーグを仕込みながら見ていたけど、案外もう心配いらない手際だったよ。流石に、まだ子供だけで包丁を握らせるわけにはいかないけれどね。
ぼくらなりの恩返しで、ママにおめでとう。

「「乾杯」」
木製のグラスが穏やかな音を生む。赤ワインの水面が揺れて、香りが漂う。
「今年は遠出も何もできなくてごめんね」
「あら、それなら夏休みに期待しちゃおうかな?あの子たちの誕生日もかねて」
「あー…タイアップのツアーでも頼んじゃいますかね」
「いいわねぇ、それも」
上気した頬と似た暖色の髪留め。緩いバンドのようなそれは、娘たちからママへ、家で使うための贈り物。柔らかなシルエットが、髪留めで括られたことでさらに上品に、美しい曲線を生み出している。僕は何度この人に惚れ直すのだろう。
ちなみに僕からは、リラックスできるというアロマランプを。僕は何かと苦労を掛けるし、朝霜は最上級生だから何かと大変かもだし……今年の艦の記憶は重かったし。ペンダントとかとも迷ったんだけども、お疲れならそれを支えてあげたいかな。

「…さ、そろそろ寝ましょうか?」
「そうね……えへ」
「やれやれ……おめでと」
「ありがとぉ」
軽く口づけを交わし、手を取ってエスコート。二人の寝室まで、この手は離さない。あたたかな幸福は、永遠に離さない。
この様子じゃ、アロマランプを焚いてみるのは明日以降になるかな。

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