おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 185

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村雨の夫 2017/01/10 (火) 09:46:11 61018@fcb0e

二泊三日ほど、某家の招待を受けて行っていた山間の別荘より帰ってきて、今日は一日家で過ごしていた。
ウィンタースポーツ、温泉、ダンスレッスンと盛りだくさんの三日間は大変有意義ではあったけど、そこから息つく暇なく新学期は問題ありだろう。ということで、一応ちゃんとした「お休み」として設定していたつもりなんだけど、そもそもが子供の無尽蔵の体力。今日も一日遊んで、いつも通りぐっすりだ。
宿題のやり忘れも見落としもない。ランドセルの中身は入念にチェック済み。憂うところはなく、村雨ちゃんと労をねぎらう。
「冬休み、おつかれさまでした」
「おつかれさまでした。あなたはこれから劇の追い込みね」
「あとひと月前後。立春のお祭りと、その前に航空会社と出版社の共同出資講演……かぁ」
「……不安?」
今回は大きく分けて二つ。グラーフと飛龍さんのコンビが主導になる興行としての公演と、街の芸術祭で公演するライト版。2種類あるとはいえ、照明機材や効果が劇場の関係上違うだけで、ほぼほぼ同じである。濃厚な二日間を2回で、合計4日だ。ツアー講演もお手の物なアイドル那珂ちゃんじゃあるまいし、僕らにとっては特殊な形態となる。
「正直、子供たちがねぇ。通し練習は出来たけど、本番なんて何が起きるやら。それを何度もだよ」
「あなたの初舞台も、私の初出撃も、大変なことしかなかったじゃない。悲観してもしょうがないわ」
「……ごもっともで」
「大丈夫。朝霜も睦月も、山雲ちゃんも、不安がるほど弱くないわ」
なんてことない調子でおつまみのチーズをつまむ。あとひとつ。こういうとき困るんだよな、と思いつつワイングラスを傾ける。
「それもそうだ。立派になったもんだよ」
「……あなたも、だよ。弱くないよ」
最後の1ピースを僕の口に差し出して、悪戯っぽく微笑む。またこの少女(ひと)は、何の気なしに核心を突いてくる。突かれてから図星と分かる僕も大概だけれど。
「ありがと。元気出た」
「好きだもんね、チーズ」
「好きだからね、村雨ちゃん」
「もう」

冬休みも終わり。春は近い、はず。花(たち)を愛でていられるように、尽力せねば。

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