仏教のお話

般若心経 / 1

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ダルマ太郎 2023/09/12 (火) 17:52:12 修正

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般若波羅蜜多心経
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唐三藏法師玄奘譯
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経:觀自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。舍利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識亦復如是。舍利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不淨不増不減。是故空中。無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色聲香味觸法。無眼界。乃至無意識界。無無明。亦無無明盡。乃至無老死。亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得故。菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。遠離顛倒夢想。究竟涅槃。三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。眞實不虚故。説般若波羅蜜多咒
即説咒曰
掲帝掲帝 般羅掲帝 般羅僧掲帝 菩提僧莎訶
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般若波羅蜜多心經
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  • 2
    ダルマ太郎 2023/09/12 (火) 18:45:29 修正 >> 1

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    般若波羅蜜多心経の訳
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    觀自在菩薩。行深般若波羅蜜多時。照見五蘊皆空。度一切苦厄。

    観自在菩薩は、深く智慧の完成の道を行じた時、この世界を構成する要素には実体が無いと見極め、一切の苦厄から離れた。

    舍利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識亦復如是。

    シャーリプトラよ。事物は、空と離れていない。空は、事物と離れていない。事物、それは即ち空である。空、それは即ち事物である。感じること・想うこと・決めること・認識も同様である。

    舍利子。是諸法空相。不生不滅。不垢不淨不増不減。

    シャーリプトラよ。このように、すべての事象は空であり、特徴が無いことから、生じることは無く、滅することは無い。汚れることは無く、浄いということは無い。増えることは無く、減ることは無い。

    是故空中。無色。無受想行識。無眼耳鼻舌身意。無色聲香味觸法。無眼界。乃至無意識界。

    このことから、空においては、事物は否定され、感じること・想うこと・決めること・認識は否定される。外界を感受する眼・耳・鼻・舌・肌・心は否定され、感受の対象である現象・音・香り・味・触れるもの・想うことは否定され、感受によって生じる眼界は否定され、ないし意識界は否定される。

    無無明。亦無無明盡。乃至無老死。亦無老死盡。無苦集滅道。無智亦無得。以無所得。

    無明は否定され、無明を滅尽することは否定され、ないし老死は否定され、老死を滅尽することは否定される。苦集滅道は否定され、智慧は否定され、智慧を得ることは否定される。よって、得るところは否定される。

    故菩提薩埵。依般若波羅蜜多故。心無罣礙。無罣礙故。無有恐怖。遠離顛倒夢想。究竟涅槃。

    このことから、菩薩は智慧の完成によって、心には何の執着も無い。執着が無いので恐怖は無い。すべての誤った思想や妄想から遠く離れている。そして、究竟して涅槃に入っている。

    三世諸佛。依般若波羅蜜多故。得阿耨多羅三藐三菩提。

    過去・未来・現在の諸仏は、智慧の完成によって、最高の覚りを得ている。

    故知般若波羅蜜多。是大神咒。是大明咒是無上咒。是無等等咒。能除一切苦。眞實不虚故。説般若波羅蜜多咒

    このことから、般若波羅蜜多は大いなる真言であると知る。これは大いなる智慧の真言であり、この上のない真言であり、他と比べることのできない真言であり、よく一切の苦を除く。真実にして、偽りがない。このことから、般若波羅蜜多の真言を説く。

    即説咒曰 掲帝掲帝 般羅掲帝 般羅僧掲帝 菩提僧莎訶

    では、真言を説こう。
    羯諦羯諦。波羅羯諦。波羅僧羯諦。菩提薩婆訶。
    ギャーテー ギャーテー ハーラーギャーテー ハラソーギャーテー ボージーソワカ

    般若波羅蜜多心經

    智慧の完成の要約についての教え

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    ダルマ太郎 2023/09/16 (土) 22:09:39 修正 >> 2

    般若波羅蜜多心経の解釈-1
    タイトルの意味

    般若とは、サンスクリットのプラジュニャー prajñā の音写です。「教訓、判断、識別、知能、知恵、智慧、目的、決心」などの意味があります。仏教で般若というときは、「智慧」を意味することが多いです。しかし、プラジュニャーの音写が般若だというのは合点がいきません。もしかしたら、パーリ語のパンニャー paññā からの音写かも知れません。

    智慧とは、事象の背後にある真理を見極める能力のことです。この真理は、眼耳鼻舌身によって知りえるものではなく、思考によっても分からないことです。不可思議であり、言語道断ですから、言葉によって伝えることもできませんから、普通の人では見極めることは難しいとされます。

    波羅蜜多とは、パーラミター pāramitā の音写です。「完成・到彼岸・度」などの意味があります。般若波羅蜜多で、「智慧の完成」を意味します。

    心とは、フリダヤ hṛdaya の訳です。「心臓・肝要・中心・核心・本質・最良の部分」などの意味があります。よって、般若波羅蜜多心で、「智慧の完成の肝要」という意味です。フリダヤには、「呪文」の意味があるともいわれます。

    サンスクリット経典では、プラジュニャー・パーラミター・フリダヤ prajñā-pāramitā-hṛdaya ですので、経にあたるスートラ sūtra がありませんが、日本では、般若波羅蜜多心経というように、経をつけてタイトルにしています。