そして今回一番描かれていなかったのは、スターシャイン星野とカジキングがどんな経緯で知り合い、この村に来ることになったのか?
自由にご想像くださいという事だろうが、蛇足ながら、以下のように想像してみました。
カジキングが超常惑星の関連SNSに次のように書き込みした。
【俺はUFOもオカルトも信じているが、最近とてつもなく大変な出来事や目撃をしているはずなのに、それを思い出せないという状況が頻繁にある。
ひょっとしたらUFOにアブダクトされて記憶を消去されているのか?それとも何かの祟りの仕業か?誰か、こんな俺を助けてくれ~】
するとこんなリプライがあった。
【当方、霊験あらたか~な退魔師、スターシャイン星野と申します。私が持つ4つの星の力であなたの災いを払って差し上げましょうか?】
その申し出にカジキングは大いに喜び、二人は日時を決めて落ち合った。
ひとけのない公園の片隅のベンチで、カジキングは星野を待ちながら、腹が空いたのでコンビニで買ったパンをかじった。
そこへ星野が現れた。
星野は白装束に身をまとい、首には大きな白い数珠を提げていた。一部の球体は大きく色が付いている。
星野「では、私があなたの災いを払って払って差し上げましょう!
災いよ…聖なる星野の力を思い知るがいい!水 木 金 土! スターウェーブ!」
数珠の一部の 大きな球体が光り、星野の手から光が放たれた。
カジキング「あっ まぶしい…。」
星野はケミーとの相性がいいのか、ケミーが感応して光らせることは出来た。ただ光だけだったのだが、カジキングはそれだけで…
カジキング「あっ、なんか肩が軽くなったような気がします。災いが払われたんでしょうか?ありがとうございます、先生!」
星野「そうか?それはよかった」
カジキング「ああ、俺はなんてスゴイ人に出会ったんだ!先生!俺を先生の弟子にしてください!お願いします!」
星野「そうか、実は私は退魔師としてまだまだ修行を積まなければならない身。この私の手伝いをしてくれるかい?」
カジキング「それはもう、喜んで!」
星野「それでは君…加治木くんだったね?(ベンチの上の食いかけのパンを見ながら)それでは君、私の一番弟子としてパン…ドラ加治木と名乗りなさい」
カジキング「ありがとうございます!パンドラ加治木!なんかカッコいい!」
こうしてカジキングはパンドラ加治木になった。
星野が川で不思議な四つの珠を拾ってから、そんなに経っていなかった。
星野が考えていたことは、どこかのオカルト事件を自分の力で解決し、実績を作り名を成すことだった。そうすればそのあとは金儲けを…
パンドラ加治木が超常惑星の関連SNSから、こんな投稿を見つけた。
関東近郊の九ツ村というところで怪事件が起きているという。
観光客や旅行者たちが、妖怪に遭遇し、驚かされたという書き込みが相次いでいた。
閉鎖的な村人たちが自分の村の汚点となるべき書き込みを行うわけがなく、実は怪事件に遭遇した地上げ屋スタッフの書き込みが発端となっていた。少しでも九ツ村の評判を落とし廃村に追い込もうという魂胆だったが、自然に同様の書き込みが増えて行った。
これを見たスターシャイン星野とパンドラ加治木は、九ツ村へ赴くことを決定した。
九ツ村でスターシャイン星野とパンドラ加治木が最初に向かったのは、お狐様が奉られている小さな祠だった。
誰かが捧げた供物が残っている。
星野「どうやらここの土着信仰は、この狐らしいな」
(星野はしゃがむと形だけ手を合わせて)
星野「…お狐様。たぶん祈りを捧げる村人が減り、あなたは力を失い、魑魅魍魎がはびこるようになったのでしょう。しかし、心配召されるな。これからはこの星野があなたに代わり、村を守る神の使いとなりましょう」
ゴト!と狐の石像が動いた気がして、星野は一瞬驚いたが、そうとは知らないカジキングが後ろから声をかけた。
カジキング「先生、村人たちが住むところへ急ぎましょう」
星野「わかった」
星野は立ち上がった。
スターシャイン星野とパンドラ加治木が立ち去った後、お狐様に異変が起こった。
お狐様の目が赤く光り、周囲の気がゆがむと、どこからともなくケミーのナインテイルが現れた。ナインテイルは「ナイン!」と小さく悲鳴を上げると、お狐様の悪意と合体、異様な姿の怪人に変わった。怪人は立ち去る星野とカジキングの後ろ姿をしばらく睨みつけた後、何処ともなく姿を消した-。