おんJ艦これ部Zawazawa支部

おんJ艦これ部町内会 / 66

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村雨の夫 2016/09/05 (月) 00:53:56 修正 5c457@381f6 >> 65

「あ、おかえり」
僕の仕事部屋、別名「執務室」の原稿机、そのモニタの向こうから栗色の髪が覗いている。
飲み物を取りに行った隙に、書きかけの原稿を見られてしまったようだ。正直気恥ずかしい。
「ねぇ、これって…」
「ん、そうだよ。あの時の話」
「なんでこんなの書いてるのよー」
顔を赤らめて抗議をしてくる。かわいいなぁと思いつつ、飲みかけの麦茶を渡す。
誤魔化されてるとでも思ったのだろうか、ちょっとむっとしながら、それでも飲む姿まで可愛らしい。
「いやね、この前お嬢様に馴れ初めを教えてほしいって言われてね。でも話しそびれちゃったし、短編にでもしようかと」
「……また話しに行けばいいんじゃないの?お月見とかでお泊り会とかさ」
「それもいいよね。執事さんと話してみるよ。…でもせっかく文筆業やってるんだしさ、セールスも兼ねてね?」
「そんなことしてる暇あったら本業を書いてよ~…」
「まーまー、たまには昔を思い出してもいいんじゃない?」
「ああ言えばこう言う…もう、困るんですけどぉ」
机に突っ伏しての上目遣い。娘たちの前ではあんまり見せない表情で、これもまた魅力的だ。
「ごめんごめん」
「で?これで終わり?終わりよね?」
「んー、そうだね。これ以上は」
「「ふたりだけのひみつ」」
口づけを交わして、微笑みあう。
「そうだ、今晩は、秋刀魚にしよっか」
「旬には早いわよ?」
「ありゃま、それもそうか」
「…食べなおさなくても、忘れないわ」
「僕もだよ。…奢りの痛みも」
「うふふ、あの時はごちそうさまでした」
「これからも食べさせていけるように、頑張ります」
「あの子たちの分も、がんばってね。あなた」
始まりを思い返して、これからを思い直す。
決意新たに、新たな季節へ。

「で、どうやって贈るの?」
「手作りで製本する方法は見つけてあるから、絵本っぽくしてみようかと」
「絵は?」
「お願いしていい?」
「はいはーい。そんなことだろうと。かっこよく描いてあげるからね」
「ほどほどでお願いね?村雨ちゃんはそのままでかわいいからそれでいいけど」
「もう!」

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